





【乾物と干物】
日頃の料理で、乾物をよく使います。お味噌汁にわかめやお麩を入れたり、切り干し大根やひじきを煮物にしたり、春雨やきくらげも茹でてサラダやスープに加えると、食感のアクセントとして活躍してくれます。乾物は、戻している間にほかの調理を進められるので、忙しい日にも頼りになる存在です。
日本で乾物が食べられてきた歴史はとても古く、縄文時代には、魚介類を干して保存していたと考えられる痕跡が遺跡から見つかっています。奈良時代には、宮廷へ納める税の一つとして乾物が用いられてきた記録もあります。冷蔵庫も冷凍庫もなかった時代に、人々は食材を長く保存するために「干す」という知恵を生み出しました。
乾物は、水分を減らすことで食材が長く保存できるようになるだけでなく、乾燥によって旨みや栄養素が凝縮されるものもあります。特に、わかめや昆布、ひじきなどの海藻類は、ビタミンやミネラルが豊富で、水溶性の食物繊維を多く含み、腸内環境を整えてくれたり、血糖値の上昇を抑える働きもあります。切り干し大根や豆類、海藻、きのこなど食物繊維を含む乾物も多く、毎日の食事に取り入れることで、食物繊維を気軽に摂取できます。
脈々と続いてきた食文化の知恵は、今の暮らしにも通じるものがたくさんあります。最近では規格外の野菜を乾燥させた商品も販売されており、フードロスの削減にもつながっています。
また、魚を下処理して干した「干物」も、干すことで旨みが凝縮され、独特の風味が生まれます。魚にはたんぱく質やカルシウムなどの栄養素が含まれており、小魚などは骨ごと食べることで骨に含まれる栄養もいただくことができます。ちなみに、今は全国で食べられているししゃもの干物は、もともとは北海道アイヌの人々の保存食でした。
北海道生まれの私にとって、干物には少し懐かしい思い出もあります。いつも祖父母の家へ行くと、帆立の貝柱や鮭とばが置いてありました。鮭とばは、鮭を塩などで味付けして乾燥させたもので、塩分は強めですが、少しの量でも噛めば噛むほど旨みが出てきます。きっと、お酒好きだった祖父のために、祖母が用意していたのだと思いますが、今思えば北海道らしい暮らしの風景だったと感じています。
北海道の魚屋さんでは、店先で魚をくるくると機械で回しながら干物を作っている光景を見かけることがあります。観光で訪れた方には珍しいようで、足を止めて写真を撮っている姿もあり、土地に根付いた食文化は、暮らしの中に自然に残っているものなのだと思いました。
そして最近は、日本各地でいつ、どんな災害が起こるか分かりません。災害時の食事で、「野菜が食べたい」という声を耳にすることがあります。非常食というと、つい特別な食品を思い浮かべますが、普段から乾物を料理に取り入れておけば、いざというときにも使いやすいはずです。わかめ、切り干し大根、豆、乾燥きのこなどを備蓄しておくのも一つの方法です。毎日の食事で、少しずつ使いながら備える。そんな「食べながら備える」暮らしを心がけていきたいと思います。
昔の人が、食材を無駄にせず、長く大切に食べるために生み出した「干す」という食の知恵。便利なものがたくさんある今だからこそ、古くから受け継がれてきた知恵を、これからも大切にしていきたいです。
小鹿田焼 小皿
https://www.shokunin.com/jp/onta/
青龍窯 小鉢 大
https://www.shokunin.com/jp/seiryu/kobachi.html
小樽ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/otaru.html
参考資料
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/bunrui/kanbutsu.html
https://agriture.jp/oem/dry-food/