



【九州の暮らしが育てた「SHOCHU」】
最近、酒屋や飲食店で、おしゃれなデザインの焼酎を目にする機会が増えたと感じることはないでしょうか。果実や花の香りを楽しめるものもあり、ソーダで割ったり、カクテルとして提供されたりと、これまでとは違う楽しみ方が提案されているようです。海外でも「SHOCHU」として知られるようになり、2024年12月には、日本酒、焼酎、泡盛など日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
焼酎の産地として、真っ先に九州を思い浮かべる方も多いと思います。芋、麦、米などいくつか種類はありますが、なぜ九州でこれほどまでに愛され、暮らしの酒として受け継がれてきたのでしょう。
焼酎が日本へ伝わったきっかけには諸説ありますが、15世紀ごろ、アジアから琉球王国へ伝わった蒸留技術が、その後、薩摩(現在の鹿児島県)へ渡り、日本各地へ広がったという説が有力とされています。蒸留という技術と、気候や風土、その土地に合った作物とが融合していくことで、九州ならではの焼酎文化が育まれていきました。
九州は南北に長く、地域によって気候も作物も異なります。南九州には火山の噴火によってできたシラス台地が広がり、米づくりに適した土地ではありませんでした。一方で、悪条件でも育てられる作物として広まったさつまいもの栽培には向いていたことから、さつまいもは人々の暮らしを支える食料となり、やがて焼酎の原料としても欠かせない存在になっていきます。北部九州では、麦の栽培が盛んだったため麦焼酎が広がり、熊本県の人吉・球磨地方では、豊かな水と米づくりを背景に米焼酎が受け継がれていきました。ちなみに、当店若松ショールームが入居する上野ビルは、むぎ焼酎の元祖とも言える「大分むぎ焼酎 二階堂」のCMにも登場しています。九州の焼酎といっても個性が異なるのは、焼酎が土地の恵みから生まれるお酒だからです。そしてどの焼酎も、毎日の食卓に寄り添ってきました。
日本酒は祝い事や季節行事と結び付けて語られることも少なくありませんが、九州の焼酎はもっと日常の中にあるもの。冬はお湯割り、暑い日には氷を入れたりと、父の晩酌で焼酎の飲み方が季節とともに変わっていく様子を食卓で眺めていた記憶があります。特別な日を祝うというより、夕食とともに今日一日をゆっくりと締めくくるためのお酒でした。
実は「焼酎」は、夏の季語。昔から暑気払いとして親しまれ、冷たい一杯で涼を感じるのも日本の夏の風景の一つです。お湯割りで香りをふくらませたり、水割りでまろやかさを楽しんだり、ロックやソーダ割りで爽快に味わったりと、料理や気候、気分に合わせて自由に楽しめるのも焼酎の魅力と言えます。
飲み方が変われば、それに似合う器を選ぶ楽しみも生まれます。うだるような暑さが続くこの季節に楽しむなら、透明感が涼やかなガラス製のグラスや、しっとり冷たい錫のタンブラーが似合いそうです。
ガラスは香りを感じやすく、透き通った見た目や氷が響く音が夏の一杯を心地よく演出してくれます。熱伝導率が高い錫は冷えたお酒の爽快感を際立たせ、やわらかな口当たりや独特の質感を楽しめます。その日の一杯に合わせて器を選ぶ時間も、焼酎ならではの豊かなひとときです。
現在では、海外の日本料理店やバーを中心に「SHOCHU」として親しまれ、自由なスタイルで楽しまれるようにもなりました。ウイスキーで作るハイボールが日本の食卓に定着したように、蒸留酒である焼酎を料理とともに味わう食文化は、これからさらに世界へ広がっていくのかもしれません。一日の終わりに、お好みの焼酎とこだわりの器で、ゆっくりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
廣田硝子 江戸硝子 karai
https://www.shokunin.com/jp/hirota/karai.html
大阪錫器 タンブラーベルク
https://www.shokunin.com/jp/osaka/berg.html
若松ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/wakamatsu.html
馳走食堂 おおの
https://www.instagram.com/chisoushokudou/
酒と飯 凪
https://www.instagram.com/sake_meshi.nagi/
参考資料
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/koujikin/index.htm
https://www.asahibeer.co.jp/enjoy/shochu/basic/knowledge/history.html
https://www.hamadasyuzou.co.jp/denbee/column/202501.html
https://www.honkakushochu-awamori.jp/about-shochu-and-awamori/shochu-ingredients/
https://kigosai.sub.jp/001/archives/4871
https://www.jetro.go.jp/industry/foods/item/pickup/shochu.html
https://nikaido-shuzo.co.jp/library/cm2000.html