






【不忍池の蓮の花】
蓮の花の季節になりました。見頃は7月中旬から8月にかけて。都内では葛飾区の水元公園や調布市の神代植物公園、そして銀座ショールームから程近い上野恩賜公園の不忍池などが有名ですね。蓮の花は、泥水のような池の中からまっすぐに茎を伸ばして花を咲かせます。その花は泥に汚れることはありません。このことから清らかさの象徴と考えられ、浄化された魂に見立てたという説もあります。アジアの国々でもさまざまな象徴として愛されています。仏教画では、よく仏陀が蓮の花の上に座っている姿が描かれていたり、ヒンドゥー教やギリシャ神話にも登場します。インドやベトナムの国花でもあるのです。
その神々しい姿を観るには、ちょっと気合いが必要です。蓮の花は、朝7時から9時が最も美しく花を咲かせ、そこから昼にかけて蕾の姿に戻ってしまいます。早起きして身なりを整え、その時間までに名所にたどり着かなければなりません。まさに“早起きは三文の徳”、きっとすてきな一日になることでしょう。
今回は上野公園へ。こちらの蓮の花は江戸時代から浮世絵にも描かれるほど有名な夏の風物詩です。1677年(延宝5年)に出版された『江戸雀』という本(江戸で刊行された初めての江戸地誌)に不忍池の蓮が詠み込まれた和歌「涼しやと 池の蓮を 見かへりて 誰かは跡を しのばずの池」が掲載されていることから、そのころには不忍池に蓮があったことが分かります。そして不忍池は昔、海(東京湾の入江)だったものがしだいに後退して陸地化し、池として残ったのだそう。池が形成された時期は平安時代ごろとも室町時代ともいわれています。
そして蓮は観るだけではありません。地下茎(蓮根=レンコン)、葉、茎、花、実のほぼすべてが食用になります。特に蓮茶はアジアの国々では親しまれており、ベトナムでは緑茶をベースにした花茶が有名です。高級品は、本物の蓮の花の中に一晩茶葉を閉じ込めて香りを移す、伝統的な製法で作られるそうです。中国や韓国では蓮葉茶です。蓮の「葉」を乾燥させ、少し独特な青っぽさと、ほうじ茶に似た香ばしさがあります。すっきりしたいときや巡りを良くする成分が含まれるそうです。そして試してみたいのが、蓮の実の芯(胚芽)の部分だけを集めた蓮芯茶(れんしんちゃ)です。リラックスタイムや夜の休息前に飲むお茶のようです。
一面の蓮の葉を観ていると、この下にはどれだけのレンコンがあふれているのかと思いましたが、やはり現在は観賞用で、地下茎が過密になったため細くて繊維質が多く、食用には適さないそうです。しかし戦時中には池のレンコンを掘り出して食用にしていたり、不忍池を埋め立てて麦を作っていたという記録もあり。改めてこんなに美しい一面の蓮の花を観れるということは幸せなのだと感じる夏の朝です。
銀座ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/ginza.html
参考資料
https://artplaza.geidai.ac.jp/sights/
https://yhistoricalplace2.web.fc2.com/historical_place/shinobazunoike/index.html
https://lovegreen.net/flower/p156120/#a4
https://www.asahi.com/articles/AST7J0QQ8T7JUQIP00GM.html