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【梅雨の真っ只中の、冷やし茶漬け】

「せっかく炊いたご飯を洗うなんて」。冷やし茶漬けの作り方を調べていて、一番驚いたのはそこでした。

お茶漬けのような食べ方は、遡ると平安時代からあったようで、ご飯に水やお湯をかけた手軽な食事として「水飯」や「湯漬け」と呼ばれていました。暑い夏には冷たい水をかけた「水飯」を食べていたという話も残っており、今の冷やし茶漬けにもどこか通じるものを感じます。

梅雨の真っ只中、昼間は蒸し暑く、どしゃぶりの雨が降ったかと思えば真夏のような日差しが続くこともあり、体が季節に追いついていないような感覚があります。なんとなく体が重たく感じる日は、元気を出すためしっかり食べようと思う反面、食欲が湧かないなんてことはありませんか。そんな日に、冷やし茶漬けはちょうどよい一杯かもしれません。

料理研究家や料理人のレシピを見比べると、皆さん共通して勧めているのは、まずご飯を一度洗うこと。温かいご飯でも冷やご飯でも、一度ざるにあげて流水で洗ってご飯の水気をしっかり切ることで、表面の余分なでんぷんが落ち、お米が一粒ずつほどけるようになります。温かいご飯を洗うことに少し抵抗しつつも、実際に試してみると、その違いは驚くほどでした。もう一つ大切なのは、かける汁をきんきんに冷やすこと。お茶でもだしでも、冷たい汁がご飯にまとわりつかず、さらさらと口の中へ入っていきます。ご飯が温かかったり、汁がぬるかったりすると、せっかくの涼やかさが薄れてしまうので、「冷やし茶漬け」として存分に味わうなら、氷を加えるくらいでもいい気がします。冷たい緑茶やほうじ茶を使ったり、白だしを冷水で割ったりするなど、あるもので気軽に作れるのも良いところです。

具材は、冷蔵庫にあるものや買い置きのもので十分楽しめます。私は、醤油味の鯖缶にきゅうりのみじん切り、ごまを振ってきざみ海苔をのせ、冷たいほうじ茶に白だしを少したらしてみました。旨味のある一杯になり、初めて食べる冷たいお茶漬けにとても可能性を感じました。冷たくてもお茶の味と香りは意外としっかり感じられます。緑茶や麦茶、ほうじ茶、玄米茶に抹茶など、お茶を替えるだけで味わいを変えられますし、定番の梅干しやしらす、大葉をのせたり、わさびを添えたりと、冷やし茶漬けは案外懐が深くて、その日の冷蔵庫次第で楽しめる一品なのかもしれません。

梅雨の時期、無理に食欲を奮い立たせなくても、具材の組み合わせを発見していく楽しみで、ついつい箸が進むなんてこともあるのではないでしょうか。じめじめした空気で疲れた日の昼食や、遅く帰った日の夕食にもぴったりです。ご飯を洗うひと手間と、かける汁を冷やす準備だけ忘れずに。ほんのり塩分のあるものと好きなお茶を注ぐだけなら、すぐにお試しいただけそうです。

冷やし茶漬けは、意外と珍しい食べ方ではなく、暑さと付き合いながら暮らしてきた日本人の知恵が今も残っている、日本らしい食事なのかもしれません。

白山陶器 平茶碗
https://www.shokunin.com/jp/hakusan/hirachawan.html
工房アイザワ ストレートポット 弦手
https://www.shokunin.com/jp/aizawa/pot.html

参考資料
https://www.nagatanien.co.jp/brand/ochaduke/history_01_sp.html