









【博物館明治村】
日本の近代国家としての礎が築かれた明治時代。数百年にわたって続いた武士中心の封建社会が終わり、鉄道、電気、郵便制度、小学校など社会の基盤となるさまざまなものがこの時代に始まります。政治や社会の仕組みだけでなく、街の風景も急速に変化していきます。西洋から入ってきたレンガ、石材、ガラスといった新たな素材を取り入れた建築物が見られるようになり、それまで主流であった木造建築の伝統や技術と組み合わせることで生まれた新たな街の風景が形成されていきました。そんな明治時代の貴重な建築物が保存・展示されているのが、愛知県犬山市にある「博物館明治村」です。
博物館明治村は、明治建築を保存展示する野外博物館として昭和40年(1965年)に開村しました。初代館長である建築家・谷口吉郎は取り壊される「鹿鳴館」を目の当たりにし、「明治時代の建物や人々の所持品は、次の時代への有意義な贈り物となったろう」と嘆いたそうです。しかしながら、その後の戦災や戦後の高度経済成長期の開発事業により、明治建築は次々と姿を消すこととなります。そういった状況の中、谷口は旧制第四高等学校(現・金沢大学)の同級生であった土川元夫(元名古屋鉄道株式会社会長)とともに、取り壊されようとする明治建築を移築・保存するため、「博物館明治村」の創設に力を注ぎます。明治村は周囲を山や入鹿池に囲まれた自然豊かな場所にありますが、開村の地として、この場所が選ばれたのには大きく二つの理由があるそうです。一つ目は、都心部から離れた場所にすることで、取り壊しの危機から救った建築物を再び開発のリスクにさらさないため。二つ目は、周囲の景色を「借景」とし、かつてその建築物のあった場所の雰囲気を再現するため。こうした創設の背景があり、明治村は現在まで「本物の価値を残す、伝える」ことに取り組んでいます。
明治村のすごさは何といってもすべてが「本物」であること。60棟を超える建造物のうち、11件が国の重要文化財、1件が愛知県の有形文化財、歴史資料では2件が国の重要文化財に指定されており、残る建造物のほとんどが国の有形文化財に登録されています。見どころも多く、一日あっても時間が足りないと思う充実ぶりですが、その中でも明治村の顔とも言える一番人気が「帝国ホテル中央玄関」です。20世紀を代表するアメリカ人建築家であるフランク・ロイド・ライトによって設計された旧帝国ホテルの中央玄関部です。高度経済成長期にホテルの高層化計画のため、取り壊しが決定、中央玄関部のみが明治村へ寄贈・移築されました。大谷石とライトが常滑の職人とともに作り出したといわれるスクラッチタイル、テラコッタが多用され、幾何学模様の装飾は古代遺跡に迷い込んだかのような独特な世界観と空間を生み出していました。凝ったデザインや装飾に時間を忘れて見入ってしまいます。本物だからこそ生み出せる雰囲気と、時を経てもなお人々を魅了し続ける美しさや威厳のようなものを感じました。外国人建築家と日本の素材や職人たちの手によって生み出された、まさに圧巻の建築でした。
若松ショールームにご来店されるお客様がよくおっしゃるのが、「すごい建物ですね」「昔のまま残っているんですね」「こんな建物が残っているなんて知らなかった」というご感想です。そういった会話をするたび、今の日本では「本物」の存在が珍しく貴重なものになりつつあること、また、そういった建物に触れる機会が減っていることを感じています。私たちが過去の人々から贈り物として受け取ったすばらしい建築物を、次の世代にどうすれば贈り物として残せるのだろうかと、考えずにはいられません。当店ショールームはいずれも世代を超えて大切に受け継がれてきた建物の中にあります。気軽に「本物」に触れ合える場所として、足を運んでいただければ幸いです。
ショールームのご案内
https://www.shokunin.com/jp/showroom/
参考資料
https://www.meijimura.com/about/
https://www.meitetsu.co.jp/profile/bc/meitetsu_wao/story/03/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%9A%E7%89%A9%E9%A4%A8%E6%98%8E%E6%B2%BB%E6%9D%91
https://www.meijimura.com/sight/%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E7%8E%84%E9%96%A2/