





【千本ゑんま堂の普賢象桜】
春は桜でにぎわう日本列島。花見帰りにショールームに立ち寄ってくださるお客様の笑顔が印象的でした。桜前線は北上し、京都の花見シーズンはとうに終わったかと思われがちですが、遅咲きの銘木がひそかに時を待っていることをご存じでしょうか。
千本通を廬山寺通まで上ると、西側に閻魔法王を本尊とする千本ゑんま堂――引接寺があります。その歴史は古く、寺院縁起も興味深いものですが、境内には小さな花園があり、遅咲きの八重桜がこの季節の主役を担います。
八重桜の名は「普賢象桜」。室町時代からこちら千本ゑんま堂にあったと伝えられ、古い種の桜として知られています。最初の写真は4月10日前後の様子。このころはまだ五分咲きにも届きませんが、半ばほどけた蕾もどこかかわいらしく、これから次々と花開く気配が感じられます。わずかに開いた花に近づいて見ると、二本の雌蕊が長く、また少し角度を帯びているのが分かります。そのしなやかな曲線が象の牙に似ていることから、普賢菩薩の乗る象に見立てられ、この名がついたといわれます。続く写真は満開のころ。透き通るような花弁が幾重にも重なり、薄紅で、花それぞれの濃淡が異なっており、近くで見ると気品高く、遠くから眺めれば華やかに花を咲かせています。そして実はこの桜、散り際は椿のように、花冠ごと落ちるのです。これも趣のひとつ。やがて地面一面が落花に覆われます。
この季節、境内では木香薔薇や藤、射干も同時に花期を迎え、閻魔様の裏庭は彩り豊かな楽園となり、愛好者たちが自然に集まってきます。また、満開の週末にはライブイベントも開催され、近所の人々が集まり、珍しい八重桜の夜桜を楽しむ宴が始まります。ここはゑんま堂、あの世とこの世の境目であることを、ふと忘れさせるひとときです。
千本ゑんま堂のおもな年中行事は、いずれもあの世と関わり深いものばかりです。節分のかけ声は「福は内、鬼も内」、そして閻魔像の目の前で狂言が奉納されます。夏の終わりには盂蘭盆会六齊念佛の風流踊りが披露され、精霊迎えの寺として京都の人々に親しまれています。今出川ショールームからは徒歩約20分。閻魔法王様にお会いするなら、閻魔様の御縁日として、ご本尊が開帳される毎月16日がおすすめです。
千本ゑんま堂 引接寺
https://yenmado.blogspot.com/
フゲンゾウ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%82%BE%E3%82%A6
今出川ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/imadegawa.html