



【BENTO文化】
「長屋の花見」という落語をご存じですか?いつもにぎやかな貧乏長屋の住人たちが、酒は番茶を煮出して水で薄め、黄色いたくあんを卵焼きに見立てたり、かまぼこは大根のお漬物で花見を楽しむという面白おかしい話です。
昔から季節ごとに行楽を楽しむ日本人、そこには欠かせない「お弁当」がありました。両国の納涼祭りや花火大会、品川海岸への汐干狩り、上野の山に紅葉狩りなど、名所には船宿や料理茶屋も立ち並び、皆それぞれ食を楽しんだそうです。特にお金持ちの花見弁当は、とっくりと重箱を合わせた蒔絵造りのものに、はや竹の子のうま煮、カステラ玉子、鯛の早ずしやきんとんなどが詰められた豪華なお弁当だったそうです。
そして今では、通勤通学の日常のお弁当や、キャラ弁にロケ弁、駅弁などはもちろん、自宅においても冷凍の宅配弁当や栄養バランスを考えた介護用のお弁当なども活用されている方は多いのではないでしょうか。なぜか外食は飽きてしまうのに、なんの変哲もない自作のお弁当は飽きないなぁ~と思うことがよくあります。不思議ですね。海外でも人気の日本の「BENTO」は、その彩りの美しさや健康志向から注目されています。特に唐揚げや照り焼き、おにぎりが人気。海外からのお客様が多い銀座ショールームでも、山一の三角おにぎり型や栗久の曲げわっぱのお弁当箱を笑顔で手に取られています。
みんな大好き「お弁当」!そのお弁当の世界には日本人の文化とも言える“コンパクト志向”があるようです。そもそも“コンパクト”は日本のお家芸で、使わないときは重ねてしまえる重箱や入れ子の器、たたんでしまえる布団や着物もそうですし、中国から伝わったうちわをたためる形に改良して扇子にしたり、巨大な自然を縮小し家の中に取り込むように設計された庭園や盆栽もそうですね。2畳ほどの小さな空間で精神的な「わび・さび」を追求する茶道にも通じるものがあります。西欧の「拡がり文化」とは対照的に、物理的な縮小や効率化だけではなく、小ささの中に価値や美を生む文化が影響しているのです。
そして“食のコンパクト”がまさにお弁当です。携帯しやすく、食べやすい。日本の食の文化と美意識が凝縮されています。芝居見物の合間に食べられた「幕の内弁当」や懐石料理の流れを取り入れた「松花堂弁当」など、わくわくと覗き込んで食べるのがもったいないほどです。
大きな物やたくさんの物を持つよりも、小さい物や少ない物で暮らしていこうという志向を持つ人が増えてきている昨今。かつてウォークマンを作り“音楽”までも持ち歩いてしまった日本人。得意分野の“コンパクト=人間らしい知恵”を生かして次は何ができるのか楽しみです。まずは大きな愛情をコンパクトに詰めたお弁当を持って、お花見に出かけましょう!
栗久 曲げわっぱのお弁当箱(無塗装)
https://www.shokunin.com/jp/kurikyu/mutosou.html
山一 三角おにぎり型
https://www.shokunin.com/jp/yamaichi/onigiri.html
松屋漆器店 白木塗重箱
https://www.shokunin.com/jp/matsuya/
安比塗漆器工房 重箱
https://www.shokunin.com/jp/appi/jubako.html
銀座ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/ginza.html
参考資料
「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」ガイドブック
https://shun-gate.com/power/power_31/
https://note.com/fc0373/n/nc8768c53305e
https://www.muji.net/img/lab/booklet/pdf/lab_booklet13.pdf