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【銅のやかん】

日々のお茶作り、どうされていますか?一年を通して、たっぷりのお茶を作って冷蔵庫にストックしておく習慣がある人にとって、やかん選びは台所仕事の質に関わるちょっとしたポイントになるかもしれません。最近使い始めた東屋の「銅のやかん」は、お茶作りの良き相棒として欠かせない存在になりつつあります。今回はこのやかんの使い心地や、その魅力についてお話ししたいと思います。

これまで我が家で使っていたのは、よくある2L用の麦茶ポット。夏は麦茶に、それ以外のシーズンはルイボスティーにと大活躍なのですが、実は以前からお茶を作るのが少し億劫に感じることがありました。それは、手持ちの鉄瓶では2Lのお茶を一度に沸かすのが難しく、鍋やケトルを併用する「二度手間」がネックだったからです。そこで、この約2L入る東屋の「銅のやかん」を思い切って迎えてみることにしました。

が、このまばゆいばかりに輝くやかん。その佇まいがあまりにも美しく、使い始めるのにしばらく躊躇してしまいました。この真新しいピカピカを目にすることができるのは、今日が最初で最後。お客様でも「新品を使うときが一番緊張する」とおっしゃっているのをよく聞くのですが、本当にその気持ちが分かります。銅は使い込むことで経年変化し、落ち着いた深い色合いに育っていくのが醍醐味……と分かってはいても、この生まれたてのような美しさをずっと保っていたいという相反する気持ちに心地よく振り回され、出そうとしてはまたしまい込んでしまう始末でした。

そしてついに、銅のやかんがある暮らしがスタートしました。たっぷりのお茶が一度で作れる便利さといったらありません。銅の熱伝導率はアルミの2倍、鉄の5倍、ステンレスの20倍。比較的早くお湯が沸くため、忙しい時間帯でも実にスムーズです。実際に使い始めて気付いたのは、その圧倒的な効率の良さです。煮出したあとに常温まで冷ましたら、取っ手を倒してそのまま冷蔵庫へ。一般的に、金属製の容器でのお茶の長時間保存は推奨されていませんが、2人で1.5日ほどで飲み切る我が家では、冷蔵庫からのにおい移りややかんの金属臭も、今のところ気になりません。むしろ、キンキンに冷えたやかんをそのまま食卓へ出し、コップへ注ぐ瞬間のひんやりとした持ち手の質感にはいつも驚かされます。お茶をピッチャーに移し替える手間が一つ省け、家事の動線がスムーズになりました。パッキンなどの細かいパーツもなく、洗うのが簡単なのも嬉しい発見です。

火にかけ、冷蔵庫に入れ、食卓へ上げる。そんな日々を繰り返すうちに、やかんの表面には水滴の跡や火による焼き色が少しずつ刻まれていきます。使うたびに変化していく銅の様子を毎日目にできるのは、道具を育てる上での大きな楽しみ。私たちが経年変化を美しく感じるのは、そこに共に過ごした時間の重なりが見えるからかもしれません。銅が変化していく理由は、表面が酸素や水分に触れて酸化し、自然な被膜を作るため。ピカピカの金属が、しっとりとした飴色へと落ち着くころには、きっと長年寄り添ってきた相棒のような安心感が生まれるでしょう。忙しい毎日の家事を支えながら、世界に一つしかない「自分の道具」になっていく過程は、なんともいえない満足感があります。

おいしいお茶が常に冷蔵庫にある安心感と、道具を自分色に育てていく楽しみ。何十年とつながる未来を想像しながら、使い込むほどに愛着が増していくこの銅のやかんを、台所に迎え入れてみませんか?注ぎ口や本体は、手作業での溶接によって仕上げられた精巧な作り。職人の丁寧な手仕事から生まれた道具は、日々の暮らしをより豊かに、鮮やかに彩ってくれるはずです。

東屋 銅のやかん
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青龍窯 汲み出し
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つちや織物所 鍋つかみ 中
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