







【光明院 波心庭】
京都で穴場の枯山水庭園を聞かれたら、「東福寺」の塔頭である「光明院」の「波心庭」が浮かびます。昭和の京都の代表的作庭家である重森三玲の名庭を、ゆったりと愉しむことができます。
光明院は、室町初頭の1391年(明徳2年)、東福寺の塔頭として金山明昶(きんざんみんちょう)によって創建されました。ちなみに、塔頭(たっちゅう)とは、本山の住職が亡くなったあと、弟子たちが本山の周辺に建てた塔(墓)や庵などの子院のこと。京都には各宗派の本山が集まることから、東福寺や大徳寺、妙心寺などの有名寺院をはじめとして塔頭が多く残っています。東福寺は、日本最古最大の禅宗大伽藍として知られるだけあって圧倒されるほどの広さを誇りますが、その南の外れにひっそりと佇むのが光明院です。
山門をくぐると、まず前庭「雲嶺庭」に勝負の守護神・摩利支尊天が静かに祀られています。その奥には主庭である枯山水庭園「波心庭」が広がり、どちらの庭も重森三玲によって作庭されました。明治生まれで昭和前半に活躍した作庭家である三玲は、1930年代に日本全国の庭園を丹念に測量、調査するうちに枯山水様式に心を奪われ、自ら作庭を手がけるようになります。伝統技法を重んじる一方、モダンで斬新な独自の審美眼で日本庭園に新たな息吹をもたらしました。
波心庭は、同時期に生まれた三玲の代表作である市松模様が印象的な「東福寺方丈庭園」とは異なる州浜型が取り入れられ、三玲の信念である「生きた庭」を体現しています。釈迦三尊・阿弥陀三尊・薬師三尊を表す三尊石から慈悲の心が放たれる世界を立石で表し、奥のサツキやツツジは雲のように刈り込まれています。「煩悩がなければ、仏心という月は波に映る」という禅の教えから名付けられた波心庭から視線を上げると、月のモチーフがあしらわれた茶亭「蘿月庵」が目に入り、東の空に昇る月を愉しめるようになっている仕掛けがなんとも雅。秋には紅葉で色鮮やかに彩られ、別名「虹の苔寺」とも呼ばれます。
光明院は、ほかの枯山水庭園に比べても腰を掛けられるスペースにゆとりがあり、さまざまな角度から、時間を忘れ自分の世界に没入して庭を眺めることができます。室内では展示が行われていることも多く、庭園や建築と溶け合うアートを味わえるのも魅力のひとつ。季節を問わず、晴れの日でも雨の日でもまた違った景色に出会えるのが枯山水庭園。あえて紅葉の季節でなくても、しんと冷えた冬の日や、行き場をなくした雨の日に、ふとこの場所を思い出して、空白の時間を見つけに行ってみてはいかがでしょうか。
光明院
https://maps.app.goo.gl/cFsFH4XL8Jvro1j77
ショールームのご案内
https://www.shokunin.com/jp/showroom/
参考資料
https://komyoin.jp/
https://tofukuji.jp/guide/tour/
https://souda-kyoto.jp/guide/theme/tacchu/index.html