



【安川電機と若松】
ここ若松、ひいては北九州市の発展を語る上で欠かせない企業の一つが、株式会社安川電機です。ものづくりの街として知られる北九州市において、長年にわたり技術革新と産業の成長を支えています。
安川電機は1915年(大正4年)に現在の北九州市・黒崎で創業し110年を迎えました。自由自在でなめらか、また精巧な動きを実現する産業用ロボットの分野で世界的に知られ、1958年には世界で初めてサーボモータの原型を開発しました。動きを止めることが得意なサーボモータ、モータを効率よく回すのが得意なインバータを製造し、モータ制御技術の業界を牽引し続けています。特に、ロボットの駆動源として組み込まれるACサーボモータは世界シェアNo.1を誇り、世界の産業を支えています。
安川電機の始まりは、筑豊炭田の発展を担った「筑豊御三家」の一角を占める安川家に遡ります。炭鉱王として知られる安川敬一郎は、炭鉱経営で培った資金と技術をもとに炭坑用電気機器の生産に乗り出し、その五男である安川第五郎が中心となって「合資会社安川電機製作所」(現・安川電機)を創立しました。電動機の開発に取り組み、挑戦し続けたことが、今日のグローバル企業である安川電機の礎を築いています。
安川敬一郎と安川財閥は、若松港の発展にも大きな役割を果たしました。若松築港株式会社の設立とともに港湾の浚渫や岸壁整備、広大な貯炭場の建設が進められ、この結果、若松は石炭を国内外へ送り出す日本有数の石炭積出港へ成長しました。筑豊炭田から若松への鉄道も整備され、石炭輸送の基点となって多くの企業や商人が集まり、若松港の近代化が進んだことで、「日本一の石炭積出港」として繁栄しました。さらに安川敬一郎は、官営製鐵所(のちの八幡製鐵所)を八幡へ誘致するため尽力した人物でもあります。若松から近い八幡への製鉄所の誘致は、石炭の安定供給を約束することで成功させ、若松港と八幡製鐵所という流通と生産の要が結びついたことで「鉄の街」として北九州が発展する基盤となりました。
創業から変わらず、安川電機の本社は北九州市にあり、創立100周年を機にその一部がものづくりや地域の文化をつなぐ施設になりました。「安川電機みらい館」には、産業用ロボットやサーボモータ、インバータを体感できる展示や体験空間があり、ロボット工場では、実際にロボットがロボットを作る工程を見学できるなど、地域に開かれています。
日本の近代化を支え、産業の拠点となった歴史のある若松。その面影は今も随所に残り、若松ショールームの窓からは、洞海湾を行き交う船が北九州市と世界を結ぶ姿を想像させてくれます。ぜひ若松を訪れ、この地が育んだ産業の歴史に触れてみてください。
若松ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/wakamatsu.html
安川電機みらい館
https://maps.app.goo.gl/6ekGJ6t8F7sLSUap6
参考資料
https://www.yaskawa.co.jp/company/profile/history
https://www.yaskawa.co.jp/company/profile/business