



【柚木沙弥郎を巡る旅へ】
「柚木沙弥郎 永遠のいま」が先日閉幕いたしました。昨年から柚木氏のゆかりの地である岩手、岡山、島根、静岡を巡回し、東京で最終日を迎えた展覧会。2024年1月に101歳の生涯を閉じた染色家・柚木沙弥郎の75年にわたる創作活動を紹介した回顧展です。初めて制作した型染布などの最初期の作品から、101歳で手がけた最晩年のコラージュまで、自由でユーモラス、生命力にあふれる、なんともパワフルな世界が広がる展覧会でした。今回巡回した街はどこも柚木氏との縁の深い地であり、制作活動の原点やターニングポイントになっている地域です。生涯の大切な方たちと出会ったエピソードやさまざまなストーリーを想いながら作品を見ていると、いつの日か柚木氏を巡る旅に出かけたくなってくるのです。
なかでも欠かせないのは岡山・倉敷の街。柚木氏は東京田端で生まれ育ちますが、空襲で家が焼けてしまい、柚木家(倉敷市玉島)の旧宅で暮らし始めます。備中松山藩主に諸役として仕えた柚木家は、現在“西爽亭”として一般公開もされており、藩主お成りの屋敷でもあった風格ある造りや構えを見ることができるようです。そして24歳の柚木氏が就職した大原美術館。ここで民藝や染色家・芹沢銈介のカレンダーと出会い、染色の道へと歩み始めるのです。美術館のロゴも柚木氏によるもので、今も入口の壁面やチケット、絵葉書のバックスタンプなどにも使われています。倉敷の美観地区は美術館を中心とし、倉敷民藝館や日本郷土玩具館があり、柚木氏が染絵などのモチーフにしたものもチラホラ発見できるようです。柚木氏もお好きだった岡山名物のばら寿司、各家庭に伝わるお味もあり、柚木家のものは穴子と干し蝦、紅しょうが入りだそうです。駅弁にもいろいろなばら寿司があるようで、帰りの新幹線も楽しめそうですね。
そして、私も前々から気になっているのが岩手・盛岡の街。そこには宮沢賢治が生前に刊行した童話集『注文の多い料理店』を出版した光原社があるのです。光原社から出版されたのはおよそ100年前の1924年のことで、その50年後に柚木氏により型染の絵葉書が作られ、今も販売されています。敷地内にはイベントスペースがあったり、ノスタルジックな中庭や柚木家のご家族もよく立ち寄られたというカフェ「可否館」もあります。“マヂエル館”には宮沢賢治の資料と共に柚木氏の作品も常設展示されているそうです。今回の展示会の中に柚木氏が制作した“光原社マップ”という作品があり、皆がにぎやかに楽しんでいる光景が思い浮かびました。その後も盛岡の郷土のお祭り“チャグチャグウマコ”を題材にした絵葉書も作られ、地元の方々にも愛されたのではないでしょうか。10月に盛岡城址公園で開催される「北のクラフトフェア」に合わせて訪れてみたいなと思います。おそらく大にぎわいですね。
そのほかにも柚木氏の作品は、横浜にある「ディーン&デルーカ」コレットマーレみなとみらい店に切り絵アートが飾られていたり、一度泊まってみたいと思っているエースホテル京都のロゴや客室のアートワークとしても出会えます。どこも洗練された中にもほっと落ち着く沙弥郎マジック空間になっていることでしょう。すでに会期は終了していますが、柚木氏を巡る旅はこれから始まります。皆さんもお近くのゆかりの地を訪ねてはいかがですか?私も来年の予定に加えてみたいと思います。さすが柚木氏!天国へ行っても、今もなお私たちをワクワクさせてくれますね。
SIWA | 紙和 シルクスクリーン
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銀座ショールーム
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『柚木沙弥郎 永遠のいま』 水沢勉(監修)
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参考資料
https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/31576?page=2
https://jp.acehotel.com/kyoto/
https://morioka-kogensya.sakura.ne.jp
https://hanahomemade.stores.jp/items/68a2f15c5d272d380ee9c45e