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【ゴンド・アートと伝統の継承】

インドの現代ゴンド画アーティスト、バッジュ・シャーム氏による展示が京都の教王護国寺(東寺)の食堂で行われていると知り、先日足を運びました。

前回2023年に開催された際にも訪れたのですが、食堂(じきどう)の雰囲気とゴンド・アートの絵の組み合わせがとてもすてきで、いつまでも眺めていたくなる空間でした。今回は最終日ということもあってか、バッジュ・シャーム氏ご本人が登場されて図録にサインを頂けるというサプライズもあり、大満足でした。

私がシャーム氏をはじめとする「ゴンド・アート」を知ったのは、インドの絵本『夜の木』(原題『The Night Life of Trees』)がきっかけでした。『夜の木』は2012年に日本で出版され、話題となった絵本です。この本に描かれたゴンド画とはインドの先住民族であるゴンド族が描く民族画で、細やかな線や寓話をモチーフにした絵が特徴です。繊細な線でありながらもダイナミックな構図、鮮やかな色使い、自然や動物などの「いのち」を描いた象徴的な物語の世界観に、すっかり引き込まれてしまったのでした。

絵本『夜の木』は、インドのタラブックスという小さな出版社から出版されているのですが、紙からハンドメイドで作られ、シルクスクリーンで印刷されています。出版できる数が限られているため、シリアルナンバーが入るのも特徴です。重版するごとに表紙の木の絵が変わるのは、日本語版の版元であるタムラ堂が依頼するオリジナルなのだそうです。絵の美しさはもちろん、手触りやにおいといった感覚までも楽しめる、うっとりするような贅沢な絵本です。

多様な民族が暮らすインドで、それぞれの歴史や文化、価値観を尊重しながら本づくりを行うタラブックス。そして、先祖から伝わる物語を絵で表現し、受け継いで語り継ぐバッジュ・シャーム氏。その姿に、国は違っても伝統や文化を受け継いでいくことの大切さを感じています。

『夜の木』
https://www.tamura-do.com/夜の木/
「バッジュ・シャーム・キョウト」展(終了)
https://www.bhajjushyam-japan.com/