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【「一人飯」を楽しむ日本の文化】

とても暑かった夏が終わり、涼しく過ごしやすい秋がやってきました。日本では秋といえば、「読書の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」など、快適な秋の気候のもとで楽しめることがいくつもあります。なかでも特に多くの人が楽しみにしているのは「食欲の秋」ではないでしょうか。新米、栗、さつまいも、きのこ、さんま、りんごなど、この季節に旬を迎える食材は数多くあり、どんな料理にしようかと考えるだけでお腹が空いてきます。暑い夏の食事は、「この夏を乗り越えなければ!」という気持ちで、夏バテ防止のための“栄養補給”に近い感覚でしたが、この季節の食事は旬の食材の色や香り、味をしっかりと味わうことができ、落ち着いて食事と向き合えるような気がします。

食事がより楽しみになるこの季節、友人や仲間と大勢で、家族とゆっくりと、そして一人で静かにと、食事のスタイルにもさまざまな選択肢があります。日本には一人でも気軽に立ち寄れるラーメン店、焼肉店、鍋料理店、蕎麦店など、「一人飯」文化が根付いており、一人で食事をする人も多くいます。外国ではしばしば驚かれる「一人飯」にあまり抵抗のない日本人の感覚、そのルーツはどこにあるのだろうと、調べてみたくなりました。

遡ること今から1000年以上前の平安時代。当時の庶民の食事は、すでに一人ずつ角盆のようなものに料理をのせて食べていたといわれます。鎌倉時代になると、一人分ずつ盛り付けられた料理を自分用の小さな台にのせて食べる「銘々膳」が登場しました。この食事スタイルはその後も長く日本における食事の形として続いていきます。使わないときは自分専用の食器や箸を箱の中にしまい、食事の際にはその箱を台として使う「箱膳」と呼ばれるものもありました。明治時代に入ると、西洋式のテーブルが導入され、一つの食卓を複数人で囲むスタイルが広まりました。そして、明治後期から大正時代にかけて「ちゃぶ台」が登場したことで、複数人で食卓を囲む形が主流となりました。

このように日本では、近年こそ複数人で食卓を囲むことが増えましたが、かつては長い年月をかけて、一人分ずつ配膳された食事と向き合う習慣が育まれてきました。それは、『孤独のグルメ』でゴローさんが自分のペースで、自由に、目の前の料理と向き合う姿とも通じるものがあります。日本人の中では「食事」と「一人で」が自然と結びついていて、この意識が「一人飯」に対する感覚にも少なからず影響しているのかもしれません。現代の日本の家庭では家族で食卓を囲むことが多いとはいえ、自分専用の箸や茶碗を使い、大皿からそれぞれが取り分けて食べる習慣もあるため、「食事=個人」という意識が今も脈々と続いていると言えるかもしれないですね。

調べてみると、日本の「一人飯」文化は、実は長い歴史の延長線上にあることが分かりました。一人で黙々と目の前の料理と向き合うと、普段よりも感覚が研ぎ澄まされたように感じられ、味や香りだけでなく、五感で食事を楽しむことができる気がします。この秋は、ゴローさんのように心ゆくまでグルメを楽しんでみてはいかがでしょうか。ゴローさんが訪れたお店を巡る際には、ぜひ当店ショールームにもお立ち寄りください。ご自宅でグルメを楽しむための道具や食器が見つかることでしょう。

ショールームのご案内
https://www.shokunin.com/jp/showroom/

参考資料
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/48/3/48_219/_pdf
https://www.kabuki-bito.jp/special/knowledge/tepco-life/post-life-02/3/