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【海藻の話】

日本の食生活に欠かせない海藻。日本・韓国・中国をはじめ、フランス・アイルランド・アメリカ・カナダ・チリなど、世界各地でも独自の海藻食文化が育まれています。英語では「seaweed(海の雑草)」と呼ばれますが、近年は「sea vegetable(海の野菜)」とも称され、栄養価の高さから健康食品としても注目されているようです。

たとえば、イギリスのウェールズでは岩海苔の佃煮のような「ラバーブレッド」を、バターと一緒にトーストに塗り、レモンを絞って食べます。アイルランドでは、「カラギンモス」と呼ばれる海藻を使ったデザートや、「ダルス」という紅藻を使ったスープ料理が知られています。アラスカ南東部のトリンギット族など北西海岸先住民は、昆布や子持ち昆布(昆布に付着したニシンの卵)を伝統的な食料として採集・消費してきました。フランスのブルターニュでは、海藻を練り込んだ発酵バターが伝統的に作られています。こうしてみると、地域ごとに気候や保存技術、食文化に合わせて独自の食べ方が発展してきたことが分かります。

日本にも古くから生の海藻を食べる文化があり、日本近海には約1,500種類の海藻が自生するといわれています。飛鳥時代や平安時代には生の海苔を摘んで食べ、大和朝廷時代には神事の供物として扱われ、「大宝律令」では租税の対象にもなりました。その後、板海苔や乾海苔など保存食として発展し、「生海苔」「生わかめ」「生アカモク」「生もずく」などが季節の食材として流通しました。沖縄の海ぶどうやもずくもその代表で、日本独自の「生のままの海藻を食べる」伝統が根付いています。

「生海苔」や「生わかめ」など一部の海藻には、消化が難しい成分が含まれていますが、これを分解できる「バクテロイデス・プレビウス(Bacteroides plebeius)」という名の腸内細菌は、日本人や一部アジア人に多いそうです。これは海藻食文化の影響により、腸内細菌が水平遺伝(外来微生物からの遺伝子獲得)で進化したためで、人間の腸内細菌が海藻分解酵素を獲得したと考えられています。欧米など他地域の人はこの腸内細菌が少なく、生の海藻は消化しにくいため、おもに加熱・加工された海藻を食べます。

代表的な海藻(昆布・わかめ・ひじき・もずく・海苔)は海のミネラルを豊富に含み、糖質が主成分で脂質は少なく、ヨウ素・カルシウム・カリウムなどが豊富です。低カロリーで栄養価が高く、健康的な食材として注目されています。特に海苔は、うま味成分のグルタミン酸(植物性)とイノシン酸(動物性)の両方を含む珍しい食品です。また、人間が最もうま味を感じる黄金比「約10:1」で含まれていると、一部の研究では報告されています。

さて、「子どもは海苔が好き」という話がありますが、これにも科学的な裏付けがあります。子どもは大人の約3倍の味蕾(味のセンサー)を持つとされ、うま味を強く感じやすい傾向があります。また、母乳にもうま味成分が含まれているため、乳幼児期からうま味に慣れ親しんでいるのです。子どもが味覚に敏感なのも納得ですね。私も焼き海苔のうま味に惹かれて、ついそのままバリバリと食べたくなります。

栗久 曲げわっぱのお弁当箱(無塗装)
https://www.shokunin.com/jp/kurikyu/mutosou.html

参考資料
https://www.table-source.jp/column/seaweed-outside-japan/
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/bunrui/kaisou-seihin.html
https://www.kazusa.or.jp/dna/worlds_dna_research/腸内細菌の遺伝的アップグレード(nl79)/
https://www.asken.jp/info/1706
https://www.norino1.jp/post/海苔のうまみ成分は黄金比!!
https://shun-gate.com/roots/roots_127/
https://oishii-igirisu-ryori.com/2019/02/01/laver-bread/
https://precious.jp/articles/-/7103
https://hes.official.jp/images/kaishi_pdf/20/20-2-16-.pdf