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【植物×匠】

東京・上野の国立科学博物館では、「植物×匠」という展示が9月28日まで開催されています。スギやヒノキで柱を立て、ススキやヨシで屋根を葺き、イグサを編んだ畳の上で暮らす日本人。海から山への変化に富む地形に四季が巡り、水と緑の豊かな国に私たちは暮らしています。身近な“植物”を材料として、自然がもたらす多種多様な恵みを衣食住に役立ててきました。こちらの展示会では、日本の伝統的な木造建築を支える“植物”と“匠”の技に注目し、さらに、それらが社会の中でどのような役割を果たしてきたかという、知恵と工夫を紹介してくれています。

日本の建築文化は温暖湿潤な気候のもと独特の進化を遂げました。豊富な水資源により木材を伐採しても森林が再生できるため、石やレンガではなく、身近にある木、草、土などの自然素材が使われてきました。強度や耐久性に優れたヒノキやスギなどの樹木に恵まれたことも木材利用を推進する要因のひとつです。一方で高い湿度や地震、台風などの自然災害により木材を腐らせたり、建物が損壊することもしばしばありました。そのたびに大工や工匠たちは傷んだ箇所を部分的に交換したり、屋根の葺き替えや定期的な修理を行い建物への愛着も深めていきました。このような自然素材の活用や持続可能な開発の考え方は海外からも高く評価されています。2020年には国の選定保存技術に選ばれている17件の伝統建築技術(建造物修理、左官、茅葺、畳製作、日本産漆生産・精製、茅採取、縁付金箔製造など)がユネスコ無形文化遺産に登録されています。しかし近年では、後継者の不足や原材料の確保の困難などの問題が急速に大きくなっているようです。今後は今年のような激しい気候変動も、技術の継承と共に文化財建造物そのものの存続にも関係してくるのではないかと感じています。

当店でも、伝統を引き継ぎながらも新しい発想で楽しませてくれる「わらむ」のわら細工を取り扱っています。南信州伊那谷の米どころ「めしのしま」なる飯島町で、伊那谷だけで栽培される希少な古代米の「白毛餅米」の稲を中心に使用しています。この稲は、強さとしなやかさ、太さと高い背丈を併せ持つため、嵐が来ても地に倒れにくいことから「勝わら」と呼ばれています。神事用に用いたり、“土が付く”ことを嫌う相撲界では縁起の良い藁として愛されています。藁には田んぼの窒素を浄化する高い機能があることも報告されているので、環境保全の面でも期待されていますし、芳しい香りや癒やされるリラックス効果もあります。銀座ショールームにも現在“わらいずみ”が展示されていますが、出勤の際にドアを開けると香る、天然のアロマがたまりません。植物の自然の力には驚かされるばかりです。わらむでは、わら細工製作や伝統継承だけではなく、藁に親しむ“わら道場”“米俵マラソン”や、藁を買い取り全国へ流通させるというような、農家の方が潤う仕組み作り“わらしべ長者プロジェクト”などにも取り組み、注目されています。

上野で開催されている「植物×匠」の展示やわらむのさまざまな取り組みを拝見すると、今回は“稲わら”“植物”にまつわる日本の文化でしたが、決して一つだけの文化ではなく、いろいろなほかの文化とも絡み合い、循環しながら、私たちの生活が成り立っているのだなと改めて感じることができます。まだまだ暑いですが、博物館は涼しいのでぜひお出かけください。そして、わらむの販売ページには想いのこもった動画も掲載されておりますので併せてご覧ください。

わらむ わらいずみ
https://www.shokunin.com/jp/waramu/waraizumi.html
銀座ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/ginza.html
国立科学博物館・竹中大工道具館共同企画展「植物×匠 めぐるいのち、つなぐ手しごと」
https://www.kahaku.go.jp/event/2025/07plantsandcrafts/

参考資料
https://waramu.jp/
https://plantsandcrafts.dougukan.jp/