



【ちらし寿司】
大きなうちわを見るといつも思い出すのが、子供のころに祖母の家で出てきた「ちらし寿司」です。ひな祭りやこどもの日など、何かとお祝い事があると、家族をもてなすために用意してくれていました。いつもは家事の途中でも手を止め、相手をしてくれていた祖母が、しゃもじとうちわを手に、寿司桶を前にしたこの時ばかりは、その場を離れず、手際よくすし飯を作っていたように思います。
ご家庭それぞれに、定番のちらし寿司があるのではないでしょうか。一般的にちらし寿司とは、酢飯の上に具材をちらしたものを指し、具材を混ぜ込んだものは、ばら寿司と呼ぶそうです。これは、東日本と西日本の違いによるもので、西日本では具材が混ぜ込まれたものをちらし寿司と呼ぶことが多いようです。
祖母が作ってくれた我が家のちらし寿司は、甘い味付けの鶏肉と椎茸、根菜などが混ぜ込まれていて、錦糸玉子に細切りのいんげんと、海苔がのったものでした。家族や親戚の家では見たことがあったけれど、お店で買うちらし寿司にも、瓶詰めなどのすしの素にも、鶏肉入りには出会わないなと不思議に思っていたことがあります。調べてみると、これは福岡県筑豊地方の郷土料理であることが分かりました。筑豊地方とつながりの深い北九州市でも、この鶏肉入りちらし寿司が定番というご家庭があるようです。
簡単に作り方をご紹介すると、鍋に油を熱し、小さく切った鶏もも肉、千切り人参、ささがきごぼう、薄く切ったれんこんや椎茸などを炒めたものに、砂糖、酒、薄口醤油などの調味料を入れ、干し椎茸の戻し汁を加えて煮汁がなくなるまで煮詰めます。粗熱を取った具材をすし飯に混ぜ込み、錦糸玉子と細切りのいんげんと海苔で飾ります。福岡県の名物「かしわ飯」とは異なり、ご飯に煮汁をしみ込ませることはしないため、見た目も彩りがきれいな五目寿司です。
酢飯づくりは何度か試していますが、なかなか祖母のようにはいきません。つやっとしてべたつかず、時間が経ってもおいしいすし飯にするには、やはり適度に水分を取ってくれる木製の寿司桶と、うちわで優しい風を送るタイミングが決め手のようです。夏は暑さで食欲が落ちやすいですが、酢飯のさっぱりとした味わいが食欲を刺激します。冷めてもおいしい鶏肉入りのちらし寿司をぜひお試しください。
山一 すし飯台
https://www.shokunin.com/jp/yamaichi/sushi.html
木屋 飯台
https://www.shokunin.com/jp/kiya/handai.html
東屋 宮島しゃもじ
https://www.shokunin.com/jp/azmaya/miyajima.html
栗川商店 渋うちわ
https://www.shokunin.com/jp/kurikawa/
安比塗漆器工房 6寸平鉢
https://www.shokunin.com/jp/appi/bowl.html
参考資料
https://www.city.iizuka.lg.jp/hoken-c/syokuiku/documents/tirasi.pdf (レシピ)
https://www.city.iizuka.lg.jp/hoken-c/syokuiku/furusato.html
https://omatsurijapan.com/blog/hinamatsuri-chirashizushi-tozai/