






【高尾山】
東京都の霊性の森、「高尾山」に行かれたことはありますか?新宿から電車で1時間弱、標高599mの高尾山は、都心から最もアクセスしやすい「霊山」として、古くから人々に親しまれてきました。年間登山者数は約300万人を超え、世界一の登山者数を誇るともいわれています。高尾の森林は冷温帯と暖温帯の境界に位置しており、それぞれの気候帯に属する生物が適応できるため、多くの種の動植物が生育しています。こうした自然環境は「明治の森高尾国定公園」に指定され、今もなお保たれています。
観光やハイキングのイメージが強いこの山ですが、かつては山伏が歩み、天狗が棲まうとされた修行の聖地でした。高尾山は古くから「飯縄権現(いづなごんげん)」を本尊とする霊山であり、その化身とされるのが「天狗」です。飯縄権現は、鎌倉時代から室町時代にかけて、長野県の飯綱山を中心に広まった信仰で、高尾山へは14世紀ごろに伝わったと考えられています。特に高尾山では、鼻高天狗と烏天狗の姿が多く見られ、彼らは山を護る存在であると同時に、山伏と呼ばれる修験者たちを導く存在として信仰されてきました。天狗は、山の神秘を象徴する存在として、また修行者を導く霊的存在として広く知られています。高尾山は、日本古来の山岳信仰と仏教などが融合した「修験道」の聖地として発展し、山伏たちは厳しい山中での修行や祈りを通じて、心身を清め、自然との調和を図ってきました。
こうした修行や信仰の中心となってきたのが、高尾山の中腹に位置する「高尾山薬王院有喜寺」です。今から約1200年前に開山された真言宗智山派の大本山です。起源は、744年に聖武天皇の勅命により奈良の東大寺を建立した行基僧正が、東国鎮護の祈願寺として開山したのが始まりとされています。開山当初は薬師如来をご本尊とし、その後、カラス天狗姿の飯縄権現を守護神として祀り、神仏習合の修験霊場として発展していきました。天狗信仰のお寺として知られ、飯縄権現のご眷属である天狗は神通力を持ち、その力で人々の願いを叶えると信じられています。
登山道を歩いていると、「六根清浄」という言葉が書かれた看板を目にします。これは「眼・耳・鼻・舌・身・意」の六つの感覚器官を清めるという意味で、かつての山伏たちはこの言葉を唱えながら山を登り、心の中の煩悩を反省し、清めていました。山伏は大自然の中で心身を鍛え、自然そのものに仏を見出すという独特の世界観を持っています。高尾山では、薬王院を中心に今も護摩焚きや祈祷、「琵琶滝」と「蛇滝」で滝行などの修験道の実践が続いており、一般の参拝者もその一端を体験できます。
こうした信仰の背景には、高尾山の山頂から富士山を望むことができるという地理的な要素もあります。富士山もまた古くから登拝の対象であり、高尾山と富士山は、関東に暮らす人々にとって特別な意味を持つ「霊山」として結びついてきました。江戸時代には富士山を神聖視した民間信仰「富士講」の信者たちが、高尾山を経由して登拝を行った記録も残されています。高尾山に設けられた「富士浅間社」では、富士山まで行けない人々がここで富士を遥拝するようになりました。さらに、高尾山から富士山まで歩く「富士登拝徒歩連行」という修行もあるそうです。
この豊かな自然に恵まれ、多くの動植物の生命の力に満ちた高尾山のことを、先人たちは「霊気満山」という言葉で表しました。登山や参拝の名所として親しまれる中にも、今も息づく霊性を感じることができるのが高尾山の魅力なのではないでしょうか。
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参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/高尾山
https://www.nippon.com/ja/views/b06405/
https://www.kankyo1.metro.tokyo.lg.jp/naturepark/know/park/introduction/toritu/meiji/characteristic.html
https://www.takaosan.or.jp/about/
https://www.takaosan.or.jp/about/syugen.html
https://takao-fumoto.com/takaosan-navi/shugendo/
https://ja.wikipedia.org/wiki/高尾山薬王院