




【東京都選定歴史的建造物・伊勢丹本店本館】
東京都歴史的建造物とは、東京都景観条例に基づいて選定される建造物です。東京都では歴史的な資源を生かした景観づくりを進めており、その取り組みの一つとして歴史的建造物の保存による景観の形成があります。これらは身近な建造物の中にも見ることができ、東京を代表する百貨店である「伊勢丹」も選定されています。
明治通りと新宿通りに面する伊勢丹本店は明治19年(1886年)創業、三越伊勢丹が運営する呉服店を起源とする日本の老舗百貨店です。建築当時、世界的に流行したアールデコ調の装飾がふんだんに使われており、建物の屋上に掲げられた「○に伊」のマークは、創業と同時に店章として定められたもので、太陽の丸、人間的な丸味、成熟した円満さを、伊勢丹の前身である伊勢屋の頭文字と合わせて表現しています。創業100周年からは、現在のISETANロゴも加わりました。百貨店売上高は全国1位を誇る新宿のランドマーク的存在で、ファッションの伊勢丹といわれるまでに成長し、常に感度の高い衣食住の情報を発信しています。
そんな伊勢丹も今、さらなる変化の時にあるといいます。コロナ禍の内食需要とともに、デパ地下への集客が一気に高まったのです。新宿駅、新宿三丁目駅などJRや地下鉄の充実という地の利も手伝って、今では朝の開店を待つ人たちが地上の正面玄関よりも、地下直結のデパ地下玄関の方が多くなるという逆転現象まで起こしているとか。開店と同時になだれ込む買い物客であっという間にデパ地下はにぎわい、この地下での活況は「噴水効果」といわれる経済効果につながっています。地下への集客が上階へ押し上げられ、店舗全体の売上を引上げるという好循環のことですね。
呉服店から始まった老舗百貨店の現在は、日本独自の食文化である“デパ地下”が牽引していることに、またひとつ時代の流れを感じます。
伊勢丹 新宿店
https://maps.app.goo.gl/FTvmBth8RTMbrefG7
銀座ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/ginza.html
参考資料
https://www.imhds.co.jp/corporate/business/history/history-isetan.html
https://www.tv-asahi.co.jp/tamori-station/