






【小樽たてもの散歩】
皆さま、そろそろ夏のご予定を考えていらっしゃる時期でしょうか。旅行での楽しみはいろいろありますよね。私は、歴史的建造物を訪れるのが好きです。歴史的建造物というと、歴史上の大きな出来事が起きた場所かしらと思われるかもしれませんが、もっとシンプルに、古くから残っている美しい建物が好きなのです。古い建物にはその地域での歴史が刻まれており、そこでの当時の日常生活に想いを馳せる。ここでどんな毎日があったのだろうと想像するのが楽しいです。スマホ一つでなんでも揃う現代とは違い、簡単に手に入れられない時代。どの様に作られたのか。外装はもちろん、窓枠や柱の装飾、色使い、細部にこだわりが感じられる建築物は魅力的です。そう、空間すべてがオートクチュール。当時の技術力や美意識、職人の心意気に感動します。写真だけでは伝わらない、空間の美がそこに存在しているのです。
随分前ですが一冊の本を手にしました。『小樽たてもの散歩』という本です。奥付を見ると、2009年。パラパラ読んでみると、小樽ショールームの入る、協和浜ビルも載っています!これを読んで、創建当時は島谷商船浜ビルという名称だったことを知りました。本には全部で87の建物が記載されています。しかし、時の流れとは怖いもの。発行当時は店舗などがあって見学できましたが、現在はできないものもあり、多くが変化しているようです。悲しいかな、いつまでも存在していて、体感できるチャンスは保証されたものではないのです。
協和浜ビルの魅力は、どっしりとした質感に淡いグレーの色合いの外壁。そして何といっても窓枠のアーチです。クラシカルでいて繊細な美しさを感じます。1階の玄関周りは花崗岩で飾られており、出入口の欄間は幾何学模様を描かれ、控えめながら上品な装飾です。小樽ショールームは最上階、ちょうどアーチの部分の窓があるお部屋です。当時からの木の窓枠、ガラスをとても間近で見ることができます。1階入り口の向かって右側、OFFICEと書かれたガラス扉を開けて、4階へどうぞ。階段中央側の手すりなど、登っていらっしゃる間も見所満載です。昭和初期の建物で4階というのも、なかなかレアだと思います。職人の矜持を感じる空間に、職人技が詰まった日本製工芸品を取り揃えております。ぜひ、建築散策の折、小樽ショールームへお立ち寄りください。
小樽ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/otaru.html
小樽市指定歴史的建造物
https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2020101500269/