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【札幌で出合う安田侃氏の世界】

北海道も本格的な夏に向けて過ごしやすい気候になってきました。天気の良い日には、街にさりげなく佇む彫刻を巡る「アート散歩」はいかがでしょうか?

札幌の街中で出合えるアートを作成した北海道美唄市出身の彫刻家・安田侃(やすだかん)氏は、イタリアで彫刻を学び、世界各地に作品を送り出してきました。彼の作品は、大理石やブロンズといった素材を使いながら、どこか柔らかく温かみのあるフォルムが特徴です。見るだけでなく、触れる・感じることを大切にしており、作品は人々の暮らしの中に自然と溶け込んでいます。札幌市内にもそんな作品が点在していて、まるで街全体が美術館のようです。

札幌にある安田侃氏の作品は、まず、JR札幌駅に「妙夢(みょうむ)」、札幌駅西コンコースの中央にある白い大理石の彫刻です。幅4m、高さ2.6mという大きさを誇り、待ち合わせ場所として有名で、私たちは「白い石」などと呼んでいる、札幌市民にはおなじみの存在です。静かに佇むその姿は、駅の喧騒の中に不思議な安らぎを与えてくれます。そして札幌駅から大通り公園の東側方向へ歩いたところの創成川沿いの創成川公園にも、作品が3点設置されています。「天秘(てんぴ)」は川の両岸に対で設置された、柔らかな曲線が印象的な作品です。「生誕」は新芽のようなシルエットで、札幌の始まりを象徴。人生を支える杖をイメージした「生棒」は、通路の中央に配置されています。自然とアートが調和した空間で、散歩しながら作品を楽しめます。

そのほかにも、北海道知事公館(旧三井クラブ)にある「意心帰(いしんき)」は、前庭の芝生の緑と調和し、静かな存在感を放っています。重さはなんと14トン!それでも、どこか軽やかで優しい印象を与えるのが安田作品の不思議なところです。札幌コンサートホールKitaraの「相響(そうきょう)」は、大ホールの入口やホワイエに設置された3つの作品が、互いに響き合っているよう。音楽と彫刻が共鳴する空間は、まさに芸術の共演です。札幌芸術の森「間(げん)」は森の中にひっそりと佇む二対の作品。「虚」と「実」の間にある空間を表現しており、自然の中で深く呼吸したくなるような場所です。このように札幌駅、創成川公園、中島公園、西18丁目、札幌芸術の森美術館にと、安田侃氏の作品が市内に点在しています。すべて巡ってみるのも楽しいのではないでしょうか?

手仕事の魅力とつながる安田侃氏の世界。安田侃氏の作品はどれも手で磨かれた石の質感が魅力です。そのなめらかさ、温かさ、重みは、まさに手仕事の極みです。触れることで感じられる美しさ、素材そのものの力を引き出す、そんな価値観を感じます。札幌の街は、中心地を歩くだけで多くの安田作品に触れられるなんて、ぜいたくだと思いませんか?そして、アートに触れたあとは、ぜひ小樽にもお立ち寄りください。手仕事の温もりを感じるアイテムが、あなたの感性にそっと寄り添ってくれるはずです。

小樽ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/otaru.html
北海道知事公館(旧三井家札幌別邸新館)
https://maps.app.goo.gl/SYNvDewtEk781swk9

参考資料
https://www.sapporo.travel/spot/feature/kanyasuda/