



【きのこ】
シイタケにナメコ、エノキタケにブナシメジ。普段から私たちの身近な食材のひとつである「きのこ」。もともとは、倒木や切り株の近くでよく見つけられることから、「木の子」と呼ばれるようになったそうです。秋を代表する味覚ではありますが、栽培技術の進歩によって現在では季節を問わず手に入れることができるようになりました。日本には、4000から5000種類のきのこが存在しているといわれていますが、正確な数ははっきりと分かっていません。そして、そのうち食用とされているきのこは、わずか100種類。対して、毒きのこは200種類以上、そのほかの多くのきのこは食毒が不明だそうですから、きのこ狩りシーズンには安易な自己判断を避けるよう注意喚起がされるのも納得ですね。
きのこは、植物や動物とは異なるグループである「菌類」に属しています。自らは光合成を行わず、木や落ち葉といった有機物に菌糸を張り巡らせて栄養を取り込み、胞子を生産するために、傘や柄のような形を持つ「子実体」という菌糸の集合体を作ります。実は、植物でいえば「花」にあたるこの子実体こそが、私たちの食卓に届く「きのこ」です。低カロリーながら、腸内環境を整える助けとなる食物繊維を多く含み、ビタミンB類なども豊富。昨今では、免疫力を高める効果が期待されるβ‐グルカンという成分にも注目が集まっています。うまみの元となるグルタミン酸が、料理にコクと深みを与えてくれるのは皆さんもご存じのとおりですが、種類も豊富で食感や風味もさまざまなきのこは、料理の幅を広げるのにもぴったりです。
きのこは生のままでは日持ちしませんが、調理も手軽でその後の保存も効き、作り置きとしても常備できる方法がセイロを使った「酒蒸し」です。シメジやマイタケ、シイタケなどのお好みのきのこを準備したら、石づきを取り、食べやすい大きさに手でほぐしてセイロに入れていきます。塩と酒を少しふりかけて蓋をし、強火で蒸気が上がった状態の鍋にのせ、5~7分ほど蒸せば出来上がり。蒸し時間はきのこの量によって調整してみてください。きのこのうまみがぎゅっと詰まって、香りや食感もシンプルに際立ちます。できたてに醤油やポン酢をかけてそのまま食べても、粗熱をとってからマリネにしたり、ほうれん草などの葉野菜と和えたり、バリエーションもさまざまですが、おすすめは鬼おろしでおろした大根を添え、ポン酢をかける食べ方。
大根に含まれるジアスターゼには、消化や吸収をサポートする作用があります。ジアスターゼは熱に弱いため、生のまま食べることができる大根おろしがおすすめ。鬼おろしでおろすとシャキシャキの食感で水分を含み、きのこの甘みを際立たせ、口の中をさっぱりさせてくれます。大根に含まれるビタミンCはアンチエイジングにも効果的で、さらに大根をおろしたときに発生するイソチオシアネートには、老化の原因となる活性酸素などを除去し、有害物質から身体を守るといった働きも期待されています。蒸したきのこと大根おろし、手軽に準備できて体にも良い組み合わせとして、ぜひ試してみてください。お好きなきのこを蒸している5分の間に、鬼おろしで大根をおろすだけです。
足立茂久商店 わっぱセイロ 5寸
https://www.shokunin.com/jp/adachi/seiro.html
木屋 鬼おろし
https://www.shokunin.com/jp/kiya/onioroshi.html
輪島キリモト すぎ椀
https://www.shokunin.com/jp/kirimoto/sugi.html
青龍窯 小鉢 小
https://www.shokunin.com/jp/seiryu/kobachi.html
参考資料
https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/kinoko/index.html
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2110/spe1_02.html
https://housefoods.jp/recipe/syokuzai/kinoko.html
https://life.saisoncard.co.jp/post/c733/
https://esse-online.jp/articles/-/25802 (レシピ)