

【小樽天狗山】
小樽天狗山(てんぐやま)は、北海道小樽市に位置する標高532.5メートルの山で、小樽市民にとっては故郷の代名詞のような存在であり、市民や観光客に親しまれています。天狗山では四季折々の美しい景色を楽しむことができます。山麓から山頂までは小樽天狗ロープウェイが運行しており、全長735メートルの空中散歩を楽しめます。ロープウェイからは小樽市街や小樽港、石狩湾、晴れた日には遠く暑寒別連峰や積丹半島まで見渡せます。
山頂には展望台があり、昼は広大なパノラマビューが、夜は宝石を散りばめたような美しい夜景が広がり、「北海道三大夜景」の一つとしても有名です。夏季にはジップラインや熱気球体験が楽しめるほか、「シマリス公園」「小樽スキー資料館」「天狗の館」などの施設もあり、家族連れや子どもたちにも人気のスポットとなっています。「天狗の館」では、日本全国から集められた約700点もの天狗の面が展示されています。また、長い鼻に触れると魔除けや願い事成就のご利益があるという「鼻なで天狗さん」や、天狗の由来とされている猿田彦大神を祀る「天狗神社」などがあり、開運や厄除けのご利益に授かることができます。
「小樽スキー資料館」が天狗山にあることからも分かるように、天狗山は日本のスキー競技の歴史において重要な役割を果たしてきました。その歴史は、1923年(大正12年)に開催された第1回全日本スキー選手権大会にまで遡ります。この大会は、日本国内で初めての全国規模のスキー大会であり、天狗山がその舞台となりました。日本スキー競技史が天狗山から始まったと知り、驚かされます。その後も天狗山はスキー競技の中心地として多くの大会が開催され、1952年(昭和27年)の第7回国民体育大会では、全国から多くの選手が集まり、スキー競技が行われました。北海道内で初めてリフトが設置されたことで、選手や観客の利便性が大幅に向上し、天狗山はスキー競技の中心地として地位を確立しました。1961年(昭和36年)には「A級国設スキー場」に指定されており、国際大会も開催可能なスキー場であると同時に、スキー競技者にとって重要なトレーニング地にもなっています。
さらに、天狗山の桜「天狗桜」は、春の訪れを告げる美しい景観として多くの人々に愛されています。山頂に位置するこの桜は、樹齢100年を超えるエゾヤマザクラで、小樽市内で最も遅く開花する桜の一つです。通常、5月初旬から中旬にかけて見頃を迎えますが、今年は5月12日に桜が開花していたと聞きました。残念ながら、私は今年の桜を見ることができませんでしたが、満開時には青空と海の色を背景にした美しい桜の景色が広がり、桜の季節にはライトアップイベントも開催され、夜には幻想的な桜の姿を楽しむことができるので、来年こそは満開の天狗桜を見たいと思っています。
もう一つ、天狗山には別名テングスミレと呼ばれている「ナガハシスミレ」が登山道に群生しています。花の名前に「テング」が付くのは、花弁の付け根の「距(きょ)」の部分が大きく成長し、天狗の鼻のように長いことから来ているそうです。天狗山にテングスミレが咲いているなんて面白いですよね。登山道を歩くと、紫色で小さいテングスミレが咲いているかもしれません。
冬はスキーやスノーボードを楽しむ人々でにぎわい、夏は観光地としての設備が整い、季節ごとの魅力にあふれた小樽天狗山。その歴史と共に美しい景色と多彩なアクティビティーで訪れる人々を魅了し続けています。小樽近郊にお住まいの方やご旅行の際には、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
小樽ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/otaru.html
参考資料
https://tenguyama.ckk.chuo-bus.co.jp/