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【会館飲み】

京都には、「会館飲み」という文化があります。「会館」とは、一つ屋根の下に個人店が所狭しと並ぶ、いわば酒場の集合体のこと。

会館は、飲食店の多い木屋町を中心に京都市内に60軒ほど点在しているといわれています。戦後、京都の経済が立ち直り始め飲食店の需要が高まる中、古い町家を壊すのではなくあえて残し、内部を細分化して入居できる店舗の数を増やしたことが会館の始まりだとか。「三大会館」として知られるのが、西院の「折鶴会館」、四条富小路の「四富会館」、京都駅近くの「リド飲食街」です。

とはいっても、京都市民でも会館飲みという文化を知らない人も珍しくありません。街に隠れるようになじむディープな外観、入り口から奥があまり見えない造り。一見さんにとっては未知な雰囲気が漂っているため、私自身もこれまで中に足を踏み入れたことはありませんでしたが、先日、満を持して会館デビューをしてきました。

伺ったのは、四条大宮の「新宿会館」。四条大宮駅から数分歩いた裏通りにある新宿会館は、緑に光る看板が目印。狭く薄暗い入り口からうなぎの寝床のように続く廊下を奥へ進むと、お客さんでにぎわう立ち飲み屋がいくつかと、2階へ上がる階段が。今回は、1階にある焼き鳥の老舗「てら」さんへ。夕方訪れたら満員で、夜も更けた時間に2軒目で再訪したところ、ちょうど3人分のスペースがあり入店が叶いました。

「てら」の文字が書かれた赤い提灯を横目に暖簾をくぐって中に入ると、L字のカウンターがあります。ほろ酔いで生ビールやトマトサワーを注文し、焼き鳥やサクサクの串カツ、アジフライはどれもおいしく、ビールが進みます。良心的な価格設定にもびっくり。ウェルカムな雰囲気で、隣になった常連さんともおしゃべり。京都ならではの話も聞けたりして、こういうところに立ち飲みの楽しさはありますね。忘れることのない、一期一会の長く楽しい夜になりました。

新宿会館(てら)
https://maps.app.goo.gl/EPXUJofZmNR6wuw97
折鶴会館(才)
https://maps.app.goo.gl/rCeq9wt3MN9Xd9BD7
ショールームのご案内
https://www.shokunin.com/jp/showroom/

参考資料
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat1/kaikannomi_230804
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat1/shinjukukaikan_231006