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【山形県・山辺町のご当地かき氷】

山形県の内陸部にある山辺町(やまのべまち)。この町には、ちょっと驚きのかき氷文化が今も息づいています。その名も「すだまり氷」。地元では親しみを込めて「すだまり」と呼ばれ、多くの人に愛されている夏の風物詩です。一見普通のかき氷に見えますが、食べ方がひと味違います。

すだまり氷とは、“酢醤油”をかけたかき氷のこと。山辺町では、昔からかき氷に酢醤油をかけて食べるという風習があります。初めて聞くと「えっ、かき氷に酢醤油?」と驚かれるも多いかもしれませんが、これが意外とクセになる味わいです。

定番のいちごシロップがかかったかき氷に、好みの量の酢醤油をさっと回しかけて食べると、最初はシロップのやさしい甘さが口に広がり、そのあとからキュッとした酸味、追いかけてくるちょっとした塩気。この甘さと酸っぱさの組み合わせが、夏の暑さで疲れた体をシャキッと目覚めさせてくれるように感じます。酢醤油は、醤油(たまり)に酢を加えたものなので「すだまり」と呼ばれるようになり、それをかけて食べるかき氷だから「すだまり氷」と呼ばれるようになったそうです。

その起源にはいくつかの説があります。かつて、かき氷を提供する店ではところてんも出しており、ひどく暑い日にはところてんの上にかき氷をのせ、酢醤油をかけて食べたのが始まりという説。また、戦後の砂糖が貴重だった時代に、無料の酢醤油をシロップ代わりに使ったという説もあります。とはいえ、なぜこの食文化が山辺町で誕生したのかという明確な理由は、実ははっきりとは分かっていません。

酢醤油が入っている容器には、杉の葉が刺してあるのが特徴。これは酢醤油をかけるときに量を調整するための工夫で、容器を傾けたときに酢醤油がドバッと一気にかかってしまうのを防いでくれます。この杉の刺さった酢醤油を見ると、「すだまりを食べに来た!」というワクワク感が広がります。

ずいぶん前のことになりますが、このすだまりを食べてみたくて、友人に頼んで山辺町にある「たこ焼き すみどや」に連れて行ってもらいました。ひと口食べて、なるほどと納得。最初は甘くて懐かしい味わい、なのにすぐにさっぱりとした酸味が広がって、口の中がすっきりします。これは山形の暑い夏にぴったりの味!爽やかなのに物足りなさがなく、最後まで飽きずにペロリと食べてしまいました。今でも夏が来るとその味を思い出します。

最初はびっくり、でも気付けばまた食べたくなる、そんな不思議な魅力が詰まったすだまり氷。山辺町を訪れる機会があれば、ぜひ体験してみてください。

たこ焼き すみどや
https://www.sumidoya.jp/takoyaki/
ショールームのご案内
https://www.shokunin.com/jp/showroom/

参考資料
https://yamagatakanko.com/attractions/detail_12885.html
https://radichubu.jp/plus/contents/id=54237#