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【大人になって読む絵本】

大人になってから絵本を開いたことはありますか?私は、かつて東京で一人暮らしをしていたころ、近所に図書館があり、少しでも時間ができると図書館の絵本コーナーで一人、絵本を読んでいました。

絵本の物語は、短いからこそメッセージがぎゅっと凝縮されているようで、たっぷりとした時間がなくても素直に向き合うことができました。また、“絵”があることで、視覚的にもほっと癒やされたり、くすっと笑えたり。そんな読書体験に、勇気づけられることも多かった気がします。

子どものころに読んだ懐かしい物語も、大人になって読み返すと感じ方がずいぶんと違うはず。十数年前に図書館で読んだあの一冊も、“今”開くとまた違った印象を受けるのだと思います。

感じる“何か”は、自分が置かれている状況や気持ち、大切な人のことだったりーー読むその時の自分次第なのかもしれません。これまで生きてきて感じたことのある場面や感情を、物語のどこかに重ね合わせるのでしょう。だから、経験を積んできた大人になったからこそ、ずっと心に響くのかもしれません。

でも、絵本のほうはきっと、そんなことは一切気にしていません。どんな感情であれ、どんな感想であれ、子どもだった時と同じように、読むあなたを見つめ、受け止めてくれます。絵本を開いて、閉じるとき。そこに生まれるあなたの新たな一ページを、絵本は穏やかに喜んでくれるはず。幼かったころの気持ちも、ふと思い出せるかもしれません。

最後に、大人になった今だからこそ心に響く、絵もたまらないおすすめ絵本をご紹介させていただきます。よかったら、少しだけ立ち止まって、絵本の世界をのぞいてみませんか?

『もしかしたら』
作:コビ・ヤマダ
絵:ガブリエラ・バロウチ
訳:前田 まゆみ
出版社:パイ インターナショナル

『クマと森のピアノ』
作:デイビッド・リッチフィールド
訳:俵 万智
出版社:ポプラ社

『せかいいちのいちご』
作:林 木林
絵:庄野 ナホコ
出版社:小さい書房

若松ショールーム
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