

【スプラウト】
なじみのある「スプラウト」といえば、もやし、かいわれ大根、豆苗などでしょうか。少し意外かもしれませんが、実は発芽玄米も広い意味ではスプラウトに含まれているそうです。スプラウトとは、植物の発芽したばかりの若芽、いわゆる「新芽」や「発芽野菜」のことを指します。種子が発芽すると、眠っていた酵素が活性化し、種の状態では存在しなかった栄養成分が新たに合成されます。そのためスプラウトには、ビタミン、ミネラル、酵素、さらに植物が自らを守るために作り出すファイトケミカルなどが豊富に含まれています。
スプラウトの歴史は古く、古代中国では約5000年前からもやしが食用にされていたといわれています。日本でも平安時代にはかいわれ大根が貴族の高級食材として賞味されていたという記録が残っており、イギリスでは19世紀のビクトリア朝時代から食卓に登場しています。スプラウトには育て方の違いによっていくつかのタイプがあり、暗室で光を当てずに育てる「もやし型」、茎がある程度伸びたあとに緑化させる「かいわれ型」、その中間的な育て方をするもの、そして発芽直後の芽を種ごと食用とする「発芽直後型」などがあり、それぞれに食感や栄養、風味の違いが楽しめます。
近年、特に注目を集めているスプラウトの一つが「ブロッコリースプラウト」です。1997年、米国ジョンズ・ホプキンス大学の研究者ポール・タラレー博士らは、カリフラワーやからし菜、芽キャベツなどを含むアブラナ科野菜の中でも、特にがん予防効果が高いとして注目しました。そして、発芽から3日目のブロッコリーの新芽に含まれる成分「スルフォラファン」に、発がん物質を解毒する働きがあることを発見し、ブロッコリースプラウトの高い栄養価が広く知られるようになりました。
インドを訪れた際、街角の八百屋で袋詰めされたスプラウトが並んでいるのを見かけました。レストランではサラダに生のまま使われており、現地の暮らしの中に自然にスプラウトが根づいている様子にワクワクしたのを覚えています。
スプラウトをおいしく効果的に取り入れるためには、できるだけ新鮮なうちに、加熱しすぎずに食べることが大切だそうです。熱に弱い成分もあるため、軽く洗ってそのままサラダに加えたり、お肉やカルパッチョに添えたり、スープや炒め物には仕上げにさっと入れたりと手軽に楽しめます。
生野菜がいっそうおいしく感じられる季節です。スプラウトは家庭でも簡単に育てることができるので作ってみてはいかがでしょうか。スプラウトの栽培適温は20~25℃、種類によりますが、種を水に浸けたあと、毎日水を替えたり霧吹きで水をあげると、7~10日ほどで収穫できます。芽吹いていく様子を観察するのもスプラウトの楽しみ方のひとつですね。
参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/スプラウト
https://www.murakamifarm.com/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sst/9/2/9_103/_pdf
https://www.murakamifarm.com/safety/reason/patent/
https://www.kagome.co.jp/company/news/2014/002101.html
https://gendai.media/articles/-/20511?page=2
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/joho/0707_joho01.html
https://www.nakahara-seed.co.jp/lecture_a.html