









【台湾の素食文化】
台湾の街を歩いていると、あちらこちらで目にする「素食」の看板。素食(スーシー)とは、台湾のベジタリアン系料理のことで、実は台湾では国民の約1割が菜食主義者。アジアではインドの31%についで2番目に高い比率といわれています。最近、今出川ショールームから程近い堀川商店街にも台湾素食のお店ができたこともあり、改めて台湾の素食文化について知りたいと思っていたところ、旅先の台東の街角で初めての素食を体験することができました。
素食は中国語での「菜食主義」の略称であり、台湾において素食は日常食の一つとなっています。大乗仏教や道教の教えに基づいて、基本的には肉や魚介類のみならず、玉子や乳製品、動物由来の油を使用しないのが特徴。さらに、空を飛ぶ鳥、地上にいる牛や豚、水中の魚介類といった「三厭(さんえん)」の食材と、香りの強いねぎ、ニラ、にんにく、らっきょう、玉ねぎなどといった「五葷(ごくん)」も使われません。また、だしにも動物性の素材は避けられ、昆布やしいたけがよく使われており、これらは料理の具材としても親しまれています。もちろん素食には、五葷を含まず純粋な植物性食品のみを食べる「全素(純素)」から、玉子はOKとする「蛋素」、玉子と乳製品を摂取する「蛋奶素」などの分類があります。
さて、台東で大人気の素食のお店「香都素食」で私たちが頼んだのは、台湾料理の定番である牡蠣のオムレツに、酸辣麺、福州包、広東粥、そしてカレーライス。オーダーの際には「玉子は使っても大丈夫か?」とご親切に確認してくださいました。菜食料理というと、野菜中心の味が薄い代用料理と思われがちですが、台湾素食は普段から菜食料理を食べ慣れていなくても満足できる味付けや工夫が凝らされています。特に、エリンギやしいたけを中心としたキノコ、そして豆腐を押し固めた「豆干」などからは、肉やイカに似た食感を感じられ、なかでもキノコ類から出るうまみは、味に深みと立体感を出してくれているように思いました。そして、台湾の飲食店に必ずといっていいほどあるチリソースや醤油が並ぶ「味変コーナー」から好きな調味料を持ってきて、自分好みに味を付け足す楽しみも。具沢山の酸辣麺は、平たい米粉の麺ととろみのついたスープが絡み、追加でかけた香酢との相性も抜群。お店の方が「食べ過ぎでは…」と心配してくださるほど注文しましたが、たくさん食べても胃袋と体が軽く感じられ、旅行中に不足しがちな野菜を摂取し、体調や食事の栄養バランスの調整を考える、とても良い機会になりました。
帰国後しばらくして、堀川商店街にある「素食カフェRen」を訪ねました。こちらは22歳の時に台湾から日本に語学留学されたオーナーが、大病をきっかけに素食料理のすばらしさに気づき、健康的な台湾素食を広めたいとオープンされたお店です。メニューは肉、魚、玉子、乳製品の動物性素材不使用、五葷の野菜も使っていない、どれも体にやさしい精進料理です。炒飯、そぼろ丼、焼き餃子、ソイミートを使用した唐揚げなど、かみ締めるほどに素材の味がじんわりと染み込んでくるようでした。店内は外国人の来店も多く、台湾素食が世界的にも注目されている現状を垣間見ることができました。
今回の旅で出会った台湾素食。実際に食べたメニューや、ネット上のレシピを参考にしながら、普段の暮らしに積極的に取り入れてみたいと思いました。台湾をご旅行の際に「素食」のお店を見つけたら、ぜひ体験してみてください。
香都素食
https://maps.app.goo.gl/s1KBQrcyFbZ4LT3S7
素食カフェRen
https://cafe-ren-horikawa.therestaurant.jp/
今出川ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/imadegawa.html
参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E7%B4%A0%E9%A3%9F
https://www.foodlabel.org.tw/FdaFrontEndApp/Law/Edit?SystemId=c68b55b2-21c2-469c-9a5b-f18e2d3cfc75&clPublishStatus=1