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【KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭】

4月も終盤となり、葉桜が鮮やかな新緑の季節を迎えています。本日は、京都で開催されている大きな写真祭をご紹介させてください。

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」は、国内最大規模を誇る写真フェスティバルです。2013年から開催されており、今年は干支が2巡目に入った節目の年となりました。コロナ禍で秋の開催を余儀なくされたこともありましたが、4月中旬からゴールデンウィーク終了後の土日までの約1カ月間、京都市内10以上の会場で、さまざまな展示やイベント・物販が行われる文化事業です。すべての会場を巡るにはパスポートチケットが必要ですが、単館チケットの発売や無料で鑑賞できる会場もあり、自分のスタイルで参加することができる選択肢の多いイベントとして親しみが感じられます。

京都で開催される文化系イベントは、会場自体の個性や魅力が大きな役割を果たしますが、KYOTOGRAPHIEもそうです。美術館やギャラリーなどの展示に特化した場だけでなく、商店街や駅など身近にある施設や、寺院仏閣の一角や新聞社の地下を間借りした非日常的なコラボレーションもあり、会場には文化財として保存されている大型京町家もいくつか含まれます。その内の一つが、ここ数年は写真祭のインフォメーション会場となっている「八竹庵(旧川崎家住宅)」です。

祇園祭の山鉾巡行が通る新町通に面している八竹庵は、大正15年(1926年)に竣工した和洋折衷の京町家です。設計に関しては、洋館部分が武田吾一、和室と茶室が上坂浅次郎、室内の意匠についても東山連峰を表現した欄間は竹内栖鳳がデザインしたものと、著名な名前が並びます。複数ある庭園自体も見事ですが、最も貴重なのは広縁の建具で、実は建築当初から割れずに現存する「波打ちガラス」です。不規則な波打ちがゆらゆらと庭の緑を幻想的にし、見学の際はさまざまな角度から見入ってしまいます。

この八竹庵は、以前「紫織庵」という長襦袢を取り扱う店舗とミュージアムでしたが、所有者が東京の不動産会社へ変更になった際、解体や移築の話で京都市から警告文が出され、京都の町家保存活動界隈を驚かせました。幸い2021年に現所有者に取得され、保存活用の一環としてKYOTOGRAPHIEも関わり始めました。今年は二階と蔵および茶室に展示を、そして一階の洋間と大きな和室にはコンシェルジェデスクとショップが設置されています。写真祭開催中は建物も無料で見学できますので、建築愛好者はぜひとも訪れたい場所です。

会期は折り返しを迎えましたが、後半のゴールデンウィーク期間中も各展示会場がにぎわいを見せることでしょう。初めての参加でしたら、まずはチケットが必要ない八竹庵を訪れてみてはいかがでしょうか。写真とすてきな京町家を堪能したあとは、レトロな洋館が並ぶ三条通も一緒にお楽しみいただけたらと思います。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭
https://www.kyotographie.jp/
八竹庵
https://www.kurochiku.co.jp/hachikuan/
三条ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/sanjo.html