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【北広島市】

北広島市はどこにあるか知っていますか?広島県の北の方にありそうな気がしますが、実は北海道にあるんです。北海道の方はご存じだと思いますが、北広島市は、札幌市の隣にある市で、札幌市内で働く方々のベッドタウンとしても人気の落ち着いた住みよい街です。通称「きたひろ」と呼ばれ、最近では、プロ野球球団の北海道日本ハムファイターズが本拠地を移転した球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」とその周辺エリア「北海道ボールパークFビレッジ」が誕生し、ますますの発展が期待され盛り上がりを見せる地域でもあります。

北海道の地名には、明治期に入植し移住してきた人々の出身地を地名としていることが多くあり、この「北広島市」も広島県から移住してきた人たちにちなんだ名前です。広島県からの移住者が入植したのは明治17年(1984年)のことで、広島県出身の和田郁次郎が同郷の有志たちと北海道開拓を決意して、25戸103人で入植し農地の開墾にあたりました。寒さ厳しい中で田畑を耕し、畑作や稲作に挑み、寒さによる大凶作に見舞われることもありましたが、稲作を軌道に乗せることができ、広島からの移住者を増やしていきました。10年が経つころには1,200人を超える集落になり、北海道で最も多い米の収穫量を上げていました。こうして、広島県からの移住がうまくいき集落の人口も増えたため、北海道庁長官にこの集落を札幌郡豊平村から独立し「和田村」とすることを勧められました。しかし、和田は「皆で開拓したので」と故郷にちなんで「広島村」としました。その後、制度変更により「広島町」となり、平成8年に市になる際、町民アンケートを踏まえ、「北広島市」となりました。この「北広島」という名称は、大正15年に開通し設置された北海道鉄道の駅の名称を決めるにあたって、広島県の広島駅と区別するために「北広島駅」と名付けられていたことから、北広島という呼び方が当時の町民になじんでいたのでしょう。

また、北海道開拓に貢献したことで有名なクラーク博士が言ったとされる有名な言葉「青年よ、大志を抱け(Boys, be ambitious)」は、この北広島市にあった島松駅逓所(北海道各地の交通・通信を補助する機関として設置された宿泊・郵便・荷物・馬などの拠点)で帰国の途につくクラーク博士が、見送りに来ていた学生たちとの別れ際に残した言葉とされています。クラーク博士といえば銅像がある札幌市のイメージが強いので意外かもしれません。

北海道の開拓には並々ならぬ苦労があったでしょう。温暖な気候の広島県から寒さ厳しい北海道へ移住しての生活ですから、冬を越すことも大変だったことが予想されます。それを同郷の仲間と共に今の土台を築き上げたからこそ、第二の故郷として「広島」の名前を残したのではないでしょうか。

参考資料
https://www.city.kitahiroshima.hokkaido.jp/sightseeing/detail/00126100.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/和田郁次郎