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【台南】

長年訪れたいと思ってはいたものの、近いしいつでも行けるだろうと後回しになっていた台湾旅行。急に思い立ち、昨年12月に6日間で台湾西部を縦断してきました。航空券と初日に泊まる宿だけ予約し、初めての台湾、そして一人旅。せっかくならあとの旅程は台湾に到着してからじっくり考えようと思い出発しました。桃園国際空港に到着してから、台中、台南、高雄、台北の順に高速バス、台湾高速鉄道、台湾鉄道を利用して都市間を移動しました。どの都市もそれぞれに特徴や魅力があるのですが、なかでも帰国して以来、写真を見返しては、何度も思い出に浸るほど印象に残っているのが台南です。

台南はその名のとおり台湾西南部に位置し、熱帯気候に属するため一年を通して温暖です。台南駅で列車を降りた瞬間から、久しぶりに感じる暑さに驚きました。12月初旬でしたが、日中の最高気温は30℃、日差しはかなり強く帽子が必須で、半袖のTシャツ一枚でも歩いていると汗をかきました。台南は台湾島で最も早くから開けた地の一つであり、長い歴史を持つ「台湾の古都」と呼ばれています。オランダ、明、清、日本の統治を経ているため、各時代を象徴する古い建築物が至る所に残っているとても美しい街です。

道の両側にすばらしい建物が立ち並ぶので、辺りをきょろきょろと見渡しながら写真を撮る手が止まりません。清代の商業エリアとして栄えたノスタルジックな雰囲気の神農街や、台湾最古の孔子廟である台南孔子廟。そして、日本統治時代に建てられた数多くの建物は改修工事を行うなどし、商業施設や公共施設として現在も利用されています。なかでも旧台南地方法院は森山松之助が手がけ1912年に完成し、当時の台湾三大建築の一つと呼ばれました。修復期間を経て、現在は司法博物館として一般公開されています。館内にはボランティアの方々が常駐されていて、私が日本から来たことが分かると日本語パンフレットや写真撮影のお手伝いなど大変親切に対応してくださいました。また、ガイドツアーにも飛び入りで参加させてくださり、ガイドさんだけでなく参加者の方までも私に何とかして説明しようと翻訳アプリや知っている日本語を使っていろいろと話しかけてくださいました。その優しさや気持ちが嬉しく、特に印象に残っています。

また、台南は「美食の街」としても知られ、名物料理が数多くあります。朝食に食べた台湾語で「虱目魚(サバヒー)」と呼ばれる白身魚のお粥は魚の旨味をまるごと味わえる逸品です。油条という揚げパンと一緒に食べたかったのですが、その日は油条がお休みだったそうで、お店の方おすすめの台湾ソーセージと一緒に食べました。少し甘めのソーセージと出汁のしっかりときいたお粥は最高の組み合わせでした。ほかにも牛骨スープにレアの牛肉が入った「牛肉湯」や、創業100年を超える度小月の「擔仔麵」など、台南は胃袋がいくつあっても足りないなと感じるほどおいしいものであふれています。

台南を歩いていると、初めて見た景色のはずなのに、昔からお互いのことをよく知る幼なじみに会ったような、そんな不思議な感覚になるのです。長い歴史の中で育まれた風土や人々の懐の深さがそう感じさせるのかもしれません。訪れたい場所、食べたいものがまだまだあり、「来年必ずまた来ます!」と心の中で誓い、次の目的地に向かって台南駅をあとにしました。その日は金曜日で、駅のホームは各地に赴くたくさんの人でにぎわっていました。じりじりと照りつけるような暑さの中で、充実感と疲労感に満たされながら、「私は一生この旅を忘れることはないだろう」と次の列車が来るのを待ちました。

台北から高速鉄道を使えば1時間半ほどで行ける台南。台南旅行のベストシーズンは本格的に暑くなる前の5月ごろまでだそうです。今年最初の海外旅行先として、台南はいかがでしょうか?歴史、街並み、食、文化、魅力あふれる古都・台南をぜひ訪れてみてください。

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E5%8D%97%E5%B8%82
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A7%E5%8F%B0%E5%8D%97%E5%9C%B0%E6%96%B9%E6%B3%95%E9%99%A2