【手作り味噌のススメ】
先日、この春に仕込んだお味噌をドキドキしながら開封してみました。蓋を開けると、ふわりと漂う新しい味噌の香り。カビ防止のため一番上に被せていた酒粕を剥がし、ひと匙すくって舐めてみると、今年のお味噌は大豆の香りがひときわ豊かな仕上がりでした。手作りならではの濃厚な味わいで、まだ少し尖ったところがありますが、麹が生きている生味噌、これからまた一年かけて少しずつ甘みを増し、まろやかな味へと熟成していきます。少しずつお気に入りの容器に移して使いながら、変化を楽しみたいと思います。ちなみに、お味噌をしっかり守ってくれた酒粕の部分もすっかり味噌味になっているので、私は鍋やお味噌汁に入れておいしく食べています。
日本の家庭料理に欠かせない味噌。お店で買うのが当たり前となっていた時代を経て、再び手作りが見直されている一方、作ってみたいけれど少しハードルが高い、と感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。かくいう私も、何年か前までそうでした。なかなか一歩を踏み出せなかった理由の一つは、味噌を仕込むための容器。1年分仕込もうと意気込むとそれなりの大きさが必要ですが、いったい何を使ったらいいのやら。木桶、陶器のカメ、ホーロー、ガラス瓶、プラスチック容器など、選択肢がたくさんあります。せっかく買うならちゃんとしたものを買いたいけれど、毎年続けられるか分からないし、などと思いながら調べ出すといろんな情報の中で迷子に…。もう一つには、前準備の大変さ。必要な材料を集めて、前日から浸水しておいた大豆を炊くという、2日がかりの大仕事です。この作業を考えると、果たしてやり遂げられるんだろうかと不安で腰が重くなってしまうことも。
そんなわけで、今回はお味噌作りのハードルを少しだけ下げる方法をご紹介できたらと思います。お味噌の作り方をいろいろ検索してみると、すでに茹でてある大豆の水煮を買ってジップロックなどのチャック付きプラスチック袋に仕込むという、現代ならではのレシピを見つけました。水煮を袋のまま潰してから、塩と合わせた麹を潰した大豆とよく混ぜ合わせ、清潔なジップロックに入れてしっかり空気を抜き、密閉。常温で半年ほど寝かせると、ちゃんとお味噌ができるとのこと。これなら忙しくてもすぐにできそうです。まずは少量、手軽な方法から試してみると、なんとなく感覚を掴むことができます。そうすると、たくさんの情報の中から自分に合った方法や材料、道具などを選びやすくなるのでおすすめです。
いやいや、それよりもう少し本格的にやってみたい、という場合。我が家では出来高5キロ分の材料を5リットル用の蓋つきバケツに仕込んでいます。散々悩んだ末にプラスチックのバケツを選んだのは、とにかくその扱いやすさから。軽くて洗いやすく、雑菌も入りにくくて、お値段も手頃。結果として、初心者にはぴったりでした。材料も、まだまだオリジナルの配合などはないので、お味噌屋さんが販売されている手作り味噌セット(大豆、麹、塩がセットになったもの)を取り寄せて使わせていただいています。お気に入りは、素材にこだわっている福井のマルカワ味噌さんのセット。毎年、とても豊かな優しい味に仕上がっています。ほかにもいろんなお味噌屋さんで手作りセットを販売されており、容器までセットになっているものもあるので、何を選んだらよいか迷われている方は、まずそうしたものをお使いになってみるのもよいと思います。
材料が揃ったら、あとは仕込むだけ。大豆を3倍の水で18時間浸水したあと、指で潰せるくらいに柔らかくなるまで炊く、というのがひと手間ですが、この日にやる!と決めて前日から準備開始。量が多いと大豆を潰したり麹と混ぜたりするときにどうしても周りに飛び散ったりするので、事前に場所を広く確保して、ビニールなどを敷いておくと気持ちよく作業することができます。ご家族やご友人を誘って一緒に作業するのも楽しいですね。
暑い夏の日も、寒い冬の日も、お味噌汁があるだけで心と体がほっと和らぎます。それが手作り味噌ならなおのこと。ネットにもたくさんのレシピや動画が公開されているので、やってみたいなぁと思いながら踏み出せずにいる方は、ぜひハードルを下げながらチャレンジしてみていただけたらと思います。
一陽窯 フードコンテナ 味噌
https://www.shokunin.com/jp/ichiyou/container.html
野田琺瑯 持ち手付ストッカー角型L
https://www.shokunin.com/jp/noda/
参考資料
https://m.youtube.com/watch?v=DnoN0cKDdCA
https://marukawamiso.com/make-miso/85.html