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【芹沢銈介】

和風かつ新鮮な模様・色彩の染色作品を多く生み出し、柚木沙弥郎の師としても知られる染色家・芹沢銈介は、来年2025年に生誕130年を迎えます。

芹沢は、1895年(明治28年)、静岡市に生まれました。東京高等工業学校(現・東京工業大学)工業図案科を卒業したのち、生涯の師である柳宗悦と、沖縄の染物である「紅型(びんがた)」に出会ったことをきっかけに、型染めを中心とした染色の道を歩み始めます。その後、柳宗悦の依頼により1931年創刊の雑誌『工藝』の装幀を手がけることで、染色作家として民藝運動に本格的に参加するようになりました。

芹沢がまず作品の制作に用いたのは、古くから日本で行われてきた伝統的な染色技法である「型染(かたぞめ)」です。型染は、渋紙を彫った型紙と、もち米を主原料とする防染糊を用いて布を染める技法。型染は一般的には絵師・彫師・染師といった職人の分業によって制作されますが、芹沢は作品の全工程を芹沢ひとりで手がけていたことから、図案・型彫り・染めまでを一貫して行う「型絵染」という技法を生み出します。1956年(昭和31年)には型絵染で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。

紅型と和染に学び、また自由な色彩感覚と模様を生む天賦の才を生かして、植物、文字、人物、風景などをモチーフとした創意あふれる作品を次々と制作した芹沢。非常に多作で、着物、帯、屏風、カレンダー、建築の装飾設計など染色にとどまらない幅広い仕事をしましたが、生涯を通じて貫いた明快かつ温和な作風は多くの人々に愛されました。その評価は国内のみならず、1976年(昭和51年)にはフランス政府から招聘を受けてパリで大規模な個展を行い、大成功を収めます。同年に文化功労者となり、1984年(昭和59年)に88歳で惜しまれつつ永眠しました。

芹沢は生前から世界の工芸品の収集家としても広く知られていて、柳宗悦は「本当の美しさがわかっている」と評しています。収集品には芹沢の個性や創造性が色濃く表れており、芹沢は自らの収集を「もうひとつの創造」と呼んでいました。つい先日まで日本民藝館で行われていた展示「生誕130年 芹沢銈介の世界」では、作品だけでなく収集品も見ることができ、水色に紫色など、素朴ながらも洗練された色合わせに魅了されました。日本民藝館のほかにも、静岡市立芹沢銈介美術館などで芹沢の作品を見ることができます。

毎年この時期にのみ販売し、ご好評を頂いている手仕事フォーラムの日本の手仕事カレンダーは、芹沢の門下で学んだ小田中耕一氏による型染を印刷して作られています。日本の手仕事を題材とした温かみのある絵柄は、どこか芹沢の作品の雰囲気に通じるものがあり、卓上型は脚付きのためデスクなどに立てて使うことができます。私も自宅用に購入したため、来年、日常の中に彼らの作品の息吹を感じながら日々を過ごすのが今から楽しみです。

手仕事フォーラム 日本の手仕事カレンダー
https://www.shokunin.com/jp/teshigoto/calendar.html
日本民藝館
https://mingeikan.or.jp/collection_series/serizawa_keisuke/
静岡市立芹沢銈介美術館
https://www.seribi.jp/

参考資料
https://www.seribi.jp/serizawa.html
https://mingeikan.or.jp/special/ex202409/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B9%E6%B2%A2%E9%8A%88%E4%BB%8B
https://www.samiro.net/notebook2/mingei03.html