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【梅干し】

「梅はその日の難逃れ(朝、出かける前に梅干しを食べるとその日は災難を免れることができる)」といわれるように、梅干しは古くから病気や災難から身を守るための万能薬とされてきました。それと同時に、日本の食文化には欠かせない定番の保存食です。

現在、梅干しの生産量の2/3は和歌山県で、なかでも「南高梅」は肉厚な果肉と柔らかさから最高品種として知られています。伝統的な梅干しは、長期間保存できるよう25~30%の塩分で梅の実を漬け込んでいますが、現在は減塩指向の高まりとともに、塩分は基本的な梅干しで20%程度以下にまで下がっています。梅干しの効能は、唾液の分泌促進やクエン酸による疲労回復、血糖値の上昇抑制、便秘解消、肝機能向上による酔い止め効果、抗菌・防腐効果などがあるといわれています。

梅干しの歴史は古く、約2000年前の中国で梅の実が塩漬けにされ、保存食として利用され始めたのが起源とされてきました。中国が原産の梅は、奈良時代に日本に伝わりましたが、当時の主役は梅を塩漬けしたときに染み出る「梅酢」でした。梅酢は消毒や胃腸病の治療などに用いられる漢方薬であり、梅干しはこの梅酢を作った際の副産物として生まれたものです。黒焼きにした梅干しは、腹痛や虫下し、解熱などの目的で用いられていたそうです。

梅干しが、現在のように一般家庭の食卓に並ぶようになったのは江戸時代のこと。『本朝食鑑』(1697年)に書かれた梅干しの作り方は、現在もほとんど変わっていません。「熟しかけの梅を取って洗い、塩数升をまぶして2、3日漬け、梅汁ができるのを待って日にさらす。日暮れになれば元の塩汁に漬け、翌朝取り出しまた日に干す。数日このようにすれば梅は乾き汁気はなくなり、皺がよって赤みを帯びるので陶磁の壷の中に保存する。生紫蘇の葉で包んだものは赤くなり珍重される」と記されています。江戸では、大晦日や節分の夜に梅干しに熱いお茶を注いだ「福茶」を飲む習慣があり、正月には、黒豆と梅干しをおせち料理に含める「喰い積み」が食され、梅干しのシワと梅の木が長生きであることから、長寿の象徴とされる縁起物として重宝されました。

さて、梅干しの種の中には「天神様」が宿るといいます。種の中には薄皮に包まれた白い実「仁」があり、中国では健康に良い効果があるものとして食べられてきました。天神様と呼ばれるようになった由来は、平安時代の学者・政治家であり、学問の神として福岡の太宰府天満宮に祭られている菅原道真が梅好きだったことからきています。道真が好んだ梅に対して庶民も梅にあやかりたいと思うようになり、梅の種の中に天神様がいらっしゃると信じられるようになりました。太宰府天満宮には「梅の種納め所」があります。

一方、中国が発祥とされる梅干しには、甘味・酸味・塩味を持つ「話梅(ファーメイ、リーヒンムイ)」と呼ばれる干し梅があります。話梅という名前は、みんなで集まっておしゃべりを楽しむときに食べる梅菓子という意味で名付けられたそうです。この干し梅は沖縄にも伝わり、日本でもスナックの定番となりました。また、梅のパウダーはハワイ、フィリピン、ポリネシア、メキシコなどにも広がり、各国でフルーツやスナックに振りかけたり、ソースとして使用されるなど、親しまれています。そしてブラジルには「花梅」と呼ばれるものがあり、日系移民が梅干しの代用品として、入手困難な梅の代わりにローゼルというハイビスカスの一種の赤い萼や苞を漬物にしたものといわれています。遠く離れた地に渡った日本人の梅干しへの愛情、そして世界中で受け継がれるすっぱい梅への魅力を感じます。

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参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/梅干し
https://tennenseikatsu.jp/_ct/17634963
https://minabe.net/pages/gaku-yurai
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240606/k10014472501000.html
https://www.godaiume.co.jp/wp/column_umeboshi/tenjinsama_jin/
https://dazaifumiryoku.com/private/10027/
https://ja.wikipedia.org/wiki/干し梅
https://en.wikipedia.org/wiki/Chamoy_(sauce)
https://en.wikipedia.org/wiki/Li_hing_mui
https://mygooddishes.com/ume