【豆腐】
日本の食文化に欠かせない大豆。現在ではアメリカやブラジルなどで多く生産され、国際的な食材となっていますが、20世紀初頭までは東アジアに限られたおもに食用の作物でした。今では「tofu」は世界共通語となり、グローバルな食材として広く認知されています。欧米で豆腐が普及し始めた理由の一つには、アメリカ人の健康意識の高まりに伴い、健康食品として注目を集めたことにあります。豆腐は当初、外の料理店で食べる特別なものでしたが、その状況を変えたのが『The Book of TOFU』という書籍でした。アメリカ人禅師であり、鎌倉に150年続くという増田屋豆腐店に弟子入りしていたウィリアム・シュトルフによる著書です。豆腐の栄養や500種類のレシピ、日本の田舎での豆腐作り、さらに豆腐の作り方までを紹介したこの本は、イラストも豊富で、多くの人々に豆腐の魅力を伝えました。この本がベストセラーとなったことがきっかけとなり、今では世界で豆腐が手に入るようになりました。
豆腐は東アジアや東南アジアで古くから食されている大豆加工食品です。特に中国、日本、朝鮮半島、台湾、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、マレーシア、インドネシアなどの地域では、日常的に親しまれています。豆腐の腐の意味は中国では腐るという意味ではなく、やわらかい固体を意味しているそうです。日本では「豆富」と表記するところもあります。
豆腐が中国から日本へ伝わった経緯については、遣唐使や空海、鎌倉時代の帰化僧による説など、さまざまな説があります。中国の伝統的な豆腐は、油で調理することが多いため硬く、発酵させてから食べることが一般的でした。沖縄の「島豆腐」は、中国との交易を通じて伝来したもので、中国の豆腐に似た硬くて密度の高い豆腐です。日本の豆腐と大きく異なる点の一つは、凝固剤の種類で、日本ではおもに「にがり」が使用されますが、中国や台湾、韓国では、天然の石膏がよく使われます。
保存食として便利な乾物の一つに「凍り豆腐」があります。凍り豆腐には高野山で生まれた「高野豆腐」と、信州や東北地方の農村地帯で保存食として親しまれた「凍み豆腐」呼ばれる製法が異なる種類があります。高野豆腐は凍った豆腐にお湯をかけて溶かし、水を絞ってから乾燥させて作ります。一方、凍み豆腐は豆腐を薄く切り、わらで編んで軒先に吊るし、自然乾燥させて作ります。戦国時代には、長野県の佐久地方で武田信玄がこれを兵食として利用した記録が残っています。
高野豆腐は、植物性タンパク質や食物繊維、ミネラルが豊富で、栄養価が高く、長期保存も可能な優れた食材です。定番の煮物だけでなく、フレンチトースト風にアレンジするのもおすすめです。ポイントは、ぬるま湯や熱湯ではなく、あつあつの甘い牛乳で戻すこと。熱湯で戻すと食感がプルプルになりますが、味がしみにくくなるため、最初から熱い牛乳で戻してじっくり煮含めると、もちもちとしたおいしい食感に仕上がります。アジア各国の豆腐料理もいろいろ試してみたいものです。
大寺幸八郎商店 かなまり 中
https://www.shokunin.com/jp/otera/kanamari.html
青龍窯 小鉢 大
https://www.shokunin.com/jp/seiryu/kobachi.html
参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/ダイズ
http://www.tofu-as.com/health/01effect/index.html
https://findveggie.net/story/the-tofu-book%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8/
https://ja.wikipedia.org/wiki/豆腐
https://ja.wikipedia.org/wiki/高野豆腐
https://delishkitchen.tv/articles/1073
https://www.asahimatsu.co.jp/chronicle.html
https://www.instagram.com/p/CAjcFQEJ0y7/
https://delishkitchen.tv/articles/1073