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【鳴海餅本店の栗赤飯】

気づけば10月。やっと涼しくなってきましたが、皆様、栗活ははかどっていますでしょうか。先日、京都・堀川通の「鳴海餅本店」へ行くと、秋の味覚「栗赤飯」を買いに来る人で大変にぎわっていました。

鳴海餅本店は、1875年(明治8年)に餅屋として創業して以来、京町衆の御用達として京都の文化や歳時記に合わせた商品を作り、こだわりの材料と手作りの技法を現代まで受け継いでいます。丹波から秋の便りが届くこの季節に、期間限定で販売されるのが「ナルミの栗赤飯」。この栗入りの赤飯は三代目・鳴海力太郎のひらめきから生まれ、1924年(大正13年)に京都で初めて売り出されてから、今年の9月でちょうど100周年を迎えました。

主役ともいえる栗は大粒の「丹波栗」、小豆は最高級品種である「丹波大納言」、つやつやと輝くもち米は「佐賀県産ヒヨクモチ」、そして水は京都の井戸水。栗の風味をより引き出すため、栗の渋皮はあえて少し残して人の手で一粒ずつ丁寧に剥いています。また、栗は季節が下るほど堅くなり味も薄くなるため、薄れつつある「旬」の概念を大切にし、秋季のみの限定商品としての提供を貫いています。厳選した素材も、手間ひまかけた製法も、旬への考え方も、ナルミの栗赤飯らしさとして昔から変わらず守られているのです。

清々しい秋晴れの日、心地よい風を受けて堀川通を自転車で走り鳴海餅本店に着くと、「本家鳴海の栗赤飯 はじめました」とリアルな栗の絵と共に達筆で書かれた看板が軒先に出ていました。嬉しい気持ちで店内に入ると、店内にも「秋の味覚 ナルミの栗赤飯」と書かれた暖簾が。ショーケースには栗のお菓子がずらりと並び、栗赤飯をお目当てに人々が入れ替わり立ち替わり訪れます。当たり前のように人々が秋の訪れを心から喜び、旬のおいしいものを求めてやってくるさまを見ると、この光景がこれまで変わらずここにあったように、これからもずっとここにありますように、と感じずにはいられません。

栗赤飯は、お茶碗1杯分から1キロ単位の注文まで、その場で蒸し上がったばかりのできたてを詰めてくれます。パックに入って手渡された栗赤飯は、ほかほか。ショーケースに目を奪われ、栗餅や栗ようかん、栗水無月も買ってしまいました。そのどれもが良心的なお値段で、京都の人々の日常の中で愛されてきたお店であることは容易に想像がつきました。かわいらしい栗赤飯の包みを剥がすと、栗があまりに大きく、ごろりと入っていて驚きます。もちもちのもち米とほくほくの栗、力強い素材の味がそのまま残されていて、ごま塩をかけて食べたらたまりません。お菓子も自宅に持ち帰ってからお抹茶と一緒にいただき、秋を最大限に感じることができた時間でした。

京都御苑から歩いて10分のところにある下立売本店。堀川通に沿って上がると、当店の今出川ショールームがあります。歩くと20分、バスだと10分ほど。本店にのみ、できたてを食べられるイートインスペースもあるため、秋のおでかけにぜひ、季節を味わいに行ってみてください。

今出川ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/imadegawa.html
鳴海餅本店
https://www.narumi-mochi.jp/
ナルミの栗赤飯 創始100年記念サイト
https://kurisekihan100th.narumi-mochi.jp/