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【かぶら蒸し】

カブ、という名前は、宮中の女房たちが使っていた女房言葉の「おかぶら」が、「おかぶ」となり、「かぶ」に変化して現在に至るそうです。実はカブの本来の名称は「カブラ」で、日本における生物学上の名前を定める際、関東で定着していた呼称の「カブ」が正式名称となり全国的に広まりました。ちなみに、春の七草の「すずな」もカブのこと。カブの形が鈴に似ているため、そう呼ばれるようになりました。

日本におけるカブの歴史は古く、弥生時代に大陸から伝わり、『日本書紀』にもカブについての記述があります。日本全国、それぞれの土地や風土に適した品種が生まれ、現在は約80種類以上のカブが栽培されているそう。伝統野菜としても多種多様で、大根にも似た岩手の「南部赤長かぶ」、滋賀県守山市で作られる葉や茎が赤紫色の「矢島かぶ」、郷土料理の「かぶらずし」にも使われる石川県の「百万石青首かぶ」など、味も、見た目も、食感もさまざま。最近はサラダにするととてもおいしい「もものすけ」も人気のカブの一つですね。

年に2回あるカブの旬ですが、秋から冬にかけてのカブは涼しい気候の中でじっくりと育つため、甘みが強く歯ごたえがあり、煮崩れしにくいのが特徴だそうです。小ぶりで食べやすそうなカブを見つけたので、栗久の曲げわっぱのセイロを使って、カブをまるごと使った「かぶら蒸し」にしてみました。くり抜く際には、ヨシタ手工業デザイン室のテーブルスプーンが大活躍。さすがキッチンでも使えるスプーン、丸いカーブがカブにフィットして滑りにくいのと、スプーンを掴んでいる手が痛くなりません。そして、蒸して作るので、煮崩れずに形もきれいに仕上がり、味噌と砂糖というシンプルな味付けが引き立つ一品です。お好みでひき肉を混ぜて詰めたり、香りの良い柚子味噌を使ってみたりとアレンジも楽しめますので、ぜひご自宅でお試しくださいませ。

かぶら蒸し 2個分

[材料]
カブ 小2個
味噌 大さじ1
砂糖 小さじ2
塩 少々

[作り方]
1. 葉とカブの間をよく洗い、葉を少し残した状態で切る。
2. 皮をむき、カブの上部を切ってからスプーンを使って中をくり抜く。カブが安定するよう根っこの方を平らに切る。
3. くり抜いた中身とカブの葉を荒みじん切りにしたら、ザルの上で軽く塩を振る。水が出たらぎゅっと絞る。
4. 3に味噌と砂糖を合わせてよく混ぜる。沸騰した鍋にセイロをセットし、弱火で10~15分、竹串が通るくらいまで蒸す。

栗久 曲げわっぱのセイロ
https://www.shokunin.com/jp/kurikyu/seiro.html
ヨシタ手工業デザイン室 テーブルスプーン
https://www.shokunin.com/jp/yoshita/cutlery.html
一陽窯 小皿
https://www.shokunin.com/jp/ichiyou/plate.html
白木屋漆器店 手塩皿
https://www.shokunin.com/jp/shirokiya/teshio.html

参考資料
https://www.bukkoji.or.jp/recipe/007.html (レシピ)
https://www.kabura.jp/contents/history/
https://www.hyponex.co.jp/yasai_daijiten/column/column-1625
https://www.repro.jp/column/archives/1308