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【枯山水】

「枯山水(かれさんすい)」とは、水を使わずに石や砂などで山水を表現した日本庭園の形式の一つ。高校時代の京都への修学旅行で唯一心に残っていた寺院が、枯山水庭園を持つ「龍安寺」でした。

日本庭園は、小川や池など水のある「池泉庭園」、水を一切使わない「枯山水」、茶室に付随する「露地」の大きく3つに区分され、枯山水はその中でも最も古い庭園形式です。中世の庭造りのテキスト『作庭記』によると、古墳の石室などの巨石を動かすことができないため、それを逆に作庭に生かしたといわれています。いくつも自然石を組み合わせることを「石組(いしぐみ)」といい、石組は庭の景観を大きく左右する要素ですが、枯山水を代表する名庭園の西芳寺や龍安寺の石組にも古墳の墓石が使われています。このことから、枯山水は死後の世界とも関わりが深いと考えられています。

平安時代までは貴族の家の庭にわずかに石組が造られる程度でしたが、鎌倉時代に入り禅宗が日本に伝わると、おもに京都の禅寺の庭に本格的な石組が造られるようになり、禅の思想を視覚的に表現する枯山水が発展しました。現在は禅宗寺院に限らず、神社や民家などでも幅広く作庭されています。比較的広い敷地を必要とする大がかりな池泉庭園に対し、枯山水は面積の広狭を選ばない上、水を使わず屋内や屋上などにも作れるため、近代的な建築でも目にするようになりました。

一見地味ですが、縁側に腰掛けて眺めていると心が静まっていくのが分かる、独特の空気と不思議な力を持つ枯山水庭園。京都に友人が来るたび、枯山水庭園を一度はコースに組み込みたくなってしまうのですが、特におすすめしたい3つの寺院をご紹介します。

まずは、世界遺産にも登録されている禅寺「龍安寺」。1975年にエリザベス2世が龍安寺を公式訪問した際に石庭を称賛し、「ロック・ガーデン」として世界的にも有名になりました。白砂と15個の石で構成されている石庭は、どこから見ても14個の石しか見えないといわれていて、修学旅行の際みんなでいろいろな角度から見比べたのを覚えています。作者や作庭意図はいずれも謎。初めて訪れた枯山水庭園が龍安寺である私にとっては、一度座ると縁側から動けなくなる石庭、石庭に至るまでの緑あふれる広い敷地、睡蓮の咲く鏡容池(きょうようち)など、すべて含めて龍安寺の美しさ、静けさ、穏やかさは、今のところ原点にして頂点です。

二つ目は、「大徳寺 瑞峯院」。天文4年(1535年)に、キリシタン大名として知られる大友宗麟が大友家の菩提寺として建立し、丈周りにある「独坐庭」と「閑眠庭」はどちらも昭和36年(1961年)に重森三玲が開祖400年遠忌を記念して作庭しました。「閑眠庭」は縦4個、横3個の石が配され、石組が十字になっていることから「十字架の庭」とも呼ばれています。なかなかほかでは見ない、荒波を想起させる白砂が個性的。コンパクトながら、キリスト教と仏教の調和を実現させている寺院です。

最後は、京都最古の禅寺「建仁寺」。宋で禅を学んだ栄西が、建仁2年(1202年)、中国の百丈山を模して建立しました。方丈前の「大雄苑(だいおうえん)」は白砂に15個の石を配した大きな庭園で、借景に勅使門と法堂を用いておりダイナミック。建仁寺は祇園の街中にあり、いつでも行けると思いこれまで行ったことがなかったのですが、つい先日初めて訪れたところ、想像以上に敷地が広く、石庭は雄大、縁側もゆったりとして、しばし時間を忘れて心を休められました。石庭のほかにも、法堂の天井に描かれた「双龍図」や、禅宗の四大思想(池水火風)を表現した「○△□乃庭」など、見応えがあります。

桜や紅葉などの彩りがない季節こそ、石庭観賞のベストシーズン。情報あふれる現代社会、枯山水庭園でしか満たされないものがあります。龍安寺と瑞峯院は京都市内の上の方にあるため今出川ショールームと合わせて、建仁寺はよりアクセスしやすい祇園にあるため三条ショールームと合わせて、京都に来られた際はぜひ訪れてみてください。

三条ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/sanjo.html
今出川ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/imadegawa.html
龍安寺
https://maps.app.goo.gl/GLV4tMys1ur7LfbP7
大徳寺 瑞峯院
https://maps.app.goo.gl/a7XqsAhuEB1Qn3PX9
建仁寺
https://maps.app.goo.gl/N2sU2fzeVqt3wque7

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%AF%E5%B1%B1%E6%B0%B4
https://souda-kyoto.jp/guide/theme/sekitei/
https://mizu.gr.jp/kikanshi/no51/05.html
https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/10210/
https://ja.kyoto.travel/glossary/single.php?glossary_id=1172