【お岩さん】
『番町皿屋敷』のお菊さん、『牡丹灯籠』のお露さん、『四谷怪談』のお岩さん。江戸の昔から、東京の街を舞台にし、落語や歌舞伎、講談などさまざまな表現方法で取り上げられてきた「三大怪談」。なんとなくは知っていましたが、登場人物が混ざってしまったりで、改めてそれぞれのストーリーを確認してみると、井戸から出てきてお皿を数えるのは、お岩さんではなく、お菊さんです。と今更ですが再認識するところもありました。どのストーリーも幸薄い娘たちが主人公になり、シンプルな中にも、裏切りや怨念、根深い心の傷が絡み合っているのです。そして、なぜか女性が醜い姿に化けるというパターンで、怖くて悲しいあらすじに仕上がっています。当時の流行りだったのでしょうか?現代まで語り継がれているということはもっと深い何かがきっとあるはずですね。
千代田区の番町を舞台にした『番町皿屋敷』、九段南四丁目と五番町の境界にある「帯坂」は、ヒロインお菊さんが髪を振り乱し、帯を引きずりながらここを通ったという伝説から、帯坂の名が付けられたといわれています。そして、文京区の根津や本郷辺りを舞台にした『牡丹灯籠』や新宿区四谷の『四谷怪談』。先日その主人公のお岩さんが信仰していた社、「於岩稲荷田宮神社」に立ち寄ってみました。
こちらの社は、現在の四谷三丁目にある田宮家の邸内にあります。実在していたお岩さんは、初代田宮又左衛門の娘さんで、養子に迎えた伊右衛門と共に家勢を再興したことから、お岩さん没後に「お岩さんの稲荷」としてしだいに人々の信仰を集めたようです。鶴屋南北の戯曲『東海道四谷怪談』が1825年(文政8年)に初演されると、更に多くの信仰を集めるようになります。戯曲は実在の人物からは200年後の作品で、お岩夫婦も怪談話とは大きく異なり、お岩さんは良妻賢母の鏡で、二人はおしどり夫婦だったそうです。お岩さん没後も、商売繁盛、夫婦円満の神様として人気を集めていました。なぜそんなすてきな奥様が、語り継がれるほどの恐ろしい怪談話になってしまったのか?まだまだ掘り下げてみたいところですね。
今でも四谷怪談上演の際には、役者さんたちが上演中の無事を祈り参拝に訪れるそうです。四谷三丁目からにぎやかな大通りを少し入った住宅街に、ひっそりと佇む小さな神社です。なぜかちょっとドキドキしてきます。お近くに行かれた際にはぜひ立ち寄ってみてください。
於岩稲荷田宮神社
https://maps.app.goo.gl/bAmNJq397teJ7U3z5
銀座ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/ginza.html
参考資料
https://kyofu.takeshobo.co.jp/news/column/koten-kaidan/1223/
https://jinja.tokyolovers.jp/tokyo/shinjuku/yotsuya-oiwainaritamiyajinja
https://www.tokyo-np.co.jp/article/49508#:~:text=江戸・東京が舞台で,方も多いのでは%E3%80%82