S__77537284

S__77537285

S__77537286

【羊羹】

「ひつじ」に「あつもの」と書いて「羊羹」。餡を使う和菓子なので日本生まれかと思いきや、ルーツは中国にありました。鎌倉・室町時代に中国に留学していた禅宗の僧侶たちによってもたらされた「点心(てんじん)」の中の一つだったようです。

「点心」とは当時、一般的には1日2食だった時代に、食間に食べる小食、きっとおやつのようなものですね。数ある種類の中でも、のちに日本の代表的な和菓子となるのが饅頭と羊羹でした。現在の中国の饅頭(マントー)に餡が入っていないことから、伝来当初は饅頭も餡なしが想定されています。そして、羊羹は羊の肉を煮込んだ羹、つまりは汁物でした。点心にはほかにも、猪羹、海老羹、魚羹などもあったようです。日本に伝えられた際、初めは中国と同様のものでしたが、肉食を禁じられていた禅僧たちにより、小豆や小麦粉など植物性の原材料から、精進料理としてさまざまな羹類が作られました。

戦国時代になると、御成(おなり)という、主君が臣下の屋敷を訪れて、もてなしを受ける儀礼が盛んに行われるのですが、その饗応の献立の中に羊羹があり、酒のつまみとして食されていたようです。それが徐々にお菓子の羊羹に姿を変えていったそうです。江戸時代後期になると料理としての羊羹は姿を消し、菓子として広まり始めます。そして、8代将軍徳川吉宗が輸入に頼っていた砂糖の国産化奨励により、砂糖の生産地・生産量が増加し、価格が下がり甘いお菓子としての羊羹も身近なものとなりました。徳川さんありがとうございます!ですね。

ただ今、六本木の「とらや 東京ミッドタウン店ギャラリー」では、「和菓子で自由研究」が開催されています。学校の教科ごとに、和菓子に関するトピックを集め、和菓子についての研究のヒントを見つけられる企画です。羊羹の今後としても、やわらかくした介護食や、日持ちがするため非常食にも向いているのだと気付かされました。私が挑戦したのは図工!羊羹の柄とネーミングです。白餡に小豆で鶴柄を描き、紫色を出すには職人さんにお任せしましょう。お祝いのシーンでも使っていただきたいので、菓銘は「鶴の舞」です!苦笑。なかなか時間もかかり、思いがけず大人も楽しい時間が過ごせました。まだまだ暑い日が続きますが、皆さま涼みながら工夫して過ごしましょう。

とらや 東京ミッドタウン店ギャラリー
https://maps.app.goo.gl/H6mitTtCXy1Zy7KZA
銀座ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/ginza.html

参考資料
https://www.toraya-group.co.jp/news/20230614
https://shun-gate.com/power/power_89/#:~:text=日本に羊羹が伝わっ,も含まれていた%E3%80%82
https://washoku2023.exhibit.jp/outline.html
特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」公式ガイドブック