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【あづま袋】

夏になり、北海道でも外でのお祭りやイベントが多く開催されています。お祭りや花火大会、盆踊りなどで華やかな浴衣を着ている方も多く見かけます。浴衣で出かけるときに、お財布や携帯電話、ハンカチなどちょっとした荷物を入れるためのかわいらしい和柄の巾着袋や、涼しげなかごバッグなどをお持ちの方もいらっしゃいますよね。お祭りや花火大会などの雰囲気とよく似合っていてすてきだなと思って眺めていますが、ふと、小樽ショールームに展示してある丸川商店のあづま袋も、浴衣によく合いそうだなと思い浮かびました。

あづま袋は、江戸時代から使われていた、荷物を入れるための袋です。当時、西洋の文化が入ってきて、洋式のカバンを見た江戸に住む人々が、風呂敷やてぬぐいを袋の形になるように縫い合わせて使い始めました。江戸で生まれたこの袋のことを、「京都から見て東」を意味する「吾妻(あづま)」袋と呼んだそうです。平面で織られた布を折り畳むようにして直線縫いのみで仕上げた簡単な作りですが、風呂敷のように中身の形に合わせて結ぶよりも、ざっくりと荷物を入れられ、持ち手になる部分をキュッと結ぶとそれだけでバッグのようになり、素早く準備が整います。汚れてしまった場合も、もともとは一枚の布ですから、洗いやすく、乾きも早いので普段使いにもぴったりです。薄く畳むことができるので、エコバッグや荷物が増えたときのサブバッグのためにメインのカバンに入れておくのもおすすめです。

北海道や東北地方の方言で、居心地の良い場所や物のことを「あずましい」といいますが、あづま袋は「持っていてあずましい袋」と言えます。この方言のあずましいは「吾妻しい」からきているようで、東を意味する吾妻のあづま袋とは違って、「吾が(我が)妻がそばにいるような安心感・落ち着く様子」が由来なのだそうですが、持っていると心地よい・しっくりくる袋、という意味も込めていいのではないかと思ってしまいます。

色や柄、大きさもたくさんあるあづま袋ですが、丸川商店のあづま袋は、松阪木綿ならではのシンプルな柄で男女問わず持ちやすいデザインです。また、底にマチがある作りになっているので、お弁当の包みとして使ったり、お財布、携帯電話、ハンカチ、ポーチくらいの荷物を入れたりするのにぴったりなサイズで小ぶりなバッグとして使えます。浴衣にはもちろんですが、普段の洋服にも合います。かごバッグの内袋にすると、かごからちらりと見える藍色がとてもすてきな差し色になります。普段は大きめのバッグを使っているという方は、インナーバッグとしてお使いいただくと、小物だけさっと取り出したり、それだけ持って移動したいときにも便利です。使うほどになじんでいき、あずましい存在になっていくでしょう。現在、小樽ショールームでもご覧いただけますので、ぜひ足をお運びください。

丸川商店 あづま袋
https://www.shokunin.com/jp/marukawa/azuma.html
小樽ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/otaru.html

参考資料
https://kinarino.jp/cat1/45109