1

2

3

4

【怪談】

日本の夏の風物詩の一つに「怪談」があります。なぜ、人は怖いとブルッと震えて寒く感じるのでしょうか?怖いものが来ると自己防衛的な体の反応が起こります。心臓を守るため、交感神経の刺激によって体内の血圧を上昇させようとする働きが起こり、末梢の血液が収縮して手足の体温が低下し冷たくなるのだそうです。

日本の夏の年中行事である「お盆」は、正月と並ぶ重要な一年の節目の行事で、あの世から死者の霊魂が帰ってくるとされています。霊魂とは祖先の霊だけでなく、供養する人の絶えた無縁仏や、浮かばれない魂も帰ってくると考えられていました。そこで、「盆狂言」と呼ばれる、そうした死霊の苦しみと成仏のプロセスを演じる、鎮魂のための民俗芸能が行われてきました。その影響を受けながら「涼み芝居」と称して、歌舞伎や落語で「四谷怪談」や「皿屋敷」など怪談の演目が取り入れられたのだそうです。

夏の季語には「百物語」、「幽霊」、「肝試し」などがあります。百物語は日本の伝統的な怪談会のスタイルの一つで、武家の肝試しに始まったといわれています。怪談を100話語り終えると、本物の「物の怪(もののけ)」が現れるとされていました。室町時代に始まった怪談を集めた本は怪談文学とも称されて多く刊行され、江戸時代には一種のブームになります。

1904年に出版された小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が著した『怪談』はご存じでしょうか?耳なし芳一、むじな、ろくろ首、雪女などが有名です。テレビアニメの『まんが日本昔ばなし』で観ていたという方も多いのではないかと思います。この本は、八雲の妻である節子から聞いた日本各地に伝わる伝説、幽霊話などを再話し、独自の解釈を加え、情緒豊かな文学作品としてよみがえらせた作品集です。そして、現代の夏の怪談といえば、お笑いタレントの稲川淳二さん。1986年から怪談話者として変わらずご活躍されています。怪談には怖さだけでなく面白いやカワイイもある日本古来のエンターテインメントですね。

ちなみに、お化けは、本来あるべき姿や生きるべき姿から大きく逸脱して変化した姿を現し、「化けて生(な)る」ことから「化生(けしょう)」とも呼ばれ、「化粧」の語源ともいわれています。

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/怪談
https://ja.wikipedia.org/wiki/怪談_(小泉八雲)
https://ja.wikipedia.org/wiki/百物語
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/sbs/133846?display=1
https://www.kokugakuin.ac.jp/article/11192
https://books.google.co.jp/books?id=RvnvEAAAQBAJ&pg=PA285&lpg=PA285&dq=盆狂言