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【土用の丑の日の話】

厳しい暑さが続いていますね。今の季節の暦は二十四節気の「大暑」にあたり、名前のとおり大いに暑い時期。暦上では8月6日まで続きます。

今年の土用の丑の日は、7月24日と8月5日の2回あります。土用の丑の日は「う」の付くものを食べる風習があり、江戸時代の蘭学者・発明家の平賀源内が「鰻を食べると、夏負けしない」と宣伝したことにより、うなぎを食べる習慣が広まったといわれています。古くは「う」の付くものとして、鰻以外には瓜、梅干、うどん、うさぎ、馬肉(うま)、牛肉(うし)などが食されていました。瓜を食べる風習は鰻の箸休めとして出される奈良漬という形で残っているそうです。

土用の丑の日には「きゅうり加持(きゅうり封じ)」といわれる祈祷儀式が、四国一宮寺や小豆島霊場40番札所・保安寺など全国の寺院で行われています。弘法大師空海が伝えられた無病息災の秘法として、土用の丑の日に、人々の身代わりとしてきゅうりに病や厄を封じ込めて土に埋め、人々の苦しみを取り除いたことに由来しています。きゅうりは、病が「久しく離れる(久離(きゅうり))」ともいわれ、人々から病を離し無病息災を祈るものです。きゅうり加持は寺院によって多少の違いがあるようです。

一方、京都の祇園祭では、祭礼の期間中は祭りに関わる人はきゅうりを食することを封じる慣わしがあります。八坂神社の神紋の一つの「五瓜に唐花」は、祇園祭の祭神のスサノオミコトを表し、きゅうりを輪切りにしたときの断面の模様に似ていることから、それがきゅうり断ちの理由とされています。

きゅうりは仏教文化と共に遣唐使によってもたらされ、当初は薬用に使われたと考えられているそうです。江戸時代末期までは「黄瓜」と呼ばれ、完熟してから食べられていたそうですが、まずく、人気のある野菜ではなかったそうです。

きゅうりは、薬膳では体を冷やす働きのある食材として分類されています。95%が水分で、カリウムも多く利尿効果もあり、体の内側の熱を外に運び冷やす作用があります。独特の青臭さはピラジンという成分によるもので、血流促進効果があり、体温調整に働くので熱中症の予防にも有効です。暑気払いにはきゅうりを食べるのが良さそうですね。

青龍窯 小鉢 小
https://www.shokunin.com/jp/seiryu/kobachi.html

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/土用の丑の日
https://ja.wikipedia.org/wiki/きゅうり加持
https://ja.wikipedia.org/wiki/キュウリ
https://ku-food-lab.com/wp/wp-content/uploads/2022/04/b8f879df029b7b91ec380580aee62523.pdf
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c9ae99c44c87cc268b04fb52ba7bd143cdc0ef4b
https://dl.ndl.go.jp/pid/2537209/1/26 (毛利梅園『草木実譜』)