【キムラ】
京都に来た方は誰もが一度は前を通ったことがあるであろう、寺町京極商店街にあるセルフ方式のすき焼き専門店「キムラ」。先日、初めてそののれんの奥に足を踏み入れました。
四条河原町のアクセス抜群の立地にあり、その佇まいからもレトロで老舗の雰囲気が漂うキムラは、昭和3年に創業しました。すき焼きと聞くと高価なイメージがありますが、こちらは比較的手頃な価格で、上質な国産黒毛和牛のすき焼きを食べられることから、京都で90年近く愛されています。全席座敷で、個室は5名から100名入るお部屋まであるとか。
先日、東京で高校時代を一緒に過ごした友人が京都に遊びに来る機会がありました。リクエストは、「おいしいものが食べたい」。京都にはおいしいものがありすぎるため頭を抱えつつ、悩んだ末に、京都らしくすき焼きを、わいわい気楽に食べられたらいいなと思い、予約をしキムラへ行ってきました。のれんをくぐり、靴を脱いで2階に上がります。足に伝わってくるカーペットのフカフカさや、青白い蛍光灯の灯り、赤い階段の雰囲気がノスタルジックで、「修学旅行で泊まる旅館での夜みたい」と話し、なんだか楽しくなってきます。2階の広いお座敷に入ると、ガスコンロが載った赤いテーブルがたくさん並んでいます。窓際の席に通され、窓の外を見ると、多くの人が道行く寺町京極商店街を見下ろせました。
ロースを3人前と、ご飯とビールを注文。その後すぐに、瓶ビール、程よく霜が入った大きなロース、長ねぎ、玉ねぎ、しらたき、焼き豆腐、お麸、みつば、だし、生玉子、おひつに入ったご飯に漬物が運ばれてきました。あっという間にテーブルがいっぱいになり、ご飯のお盆は畳の上に。まずはビールで乾杯し、「すき焼の炊き方レシピ」を見ながら、みんなで力を合わせてすき焼きを作ります。野菜やお肉を入れて、だしを注ぎ、砂糖を振りかけて、お麩がだしを吸ったら出来上がり。グツグツと煮えて、いい匂いが漂うその光景に、一同思わず笑顔になります。溶き玉子にロースをくぐらせて食べると、口の中でとろけました。だしのしみた野菜やお麩も甘すぎずいい味で、おひつからご飯もおかわりして、ビールも飲んで、食べ終わるころにはお腹いっぱい。レトロな伝票は、キムラのオリジナルです。
居酒屋に飲みに行くのと同じような値段で、お値段以上のクオリティーのお肉のすき焼きを味わえました。この値段の理由の一つにセルフ方式ということもあると思いますが、作る過程も楽しいものです。高校時代、一緒に京都に修学旅行に行った友人と、また京都で、おいしくてあたたかくて幸せな夜を過ごすことができました。観光やお出かけの際に、一度寄ってみてはいかがでしょうか。
キムラ
https://maps.app.goo.gl/XSYH8NSJ15u1pFk4A
三条ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/sanjo.html
参考資料
https://www.kyoto-teramachi.or.jp/shop/w081/