【塩芳軒の銘菓・聚楽】
今出川ショールームから黒門通を歩き、堀川中立売に出る手前に、黒染めの長いのれんが印象的な和菓子屋さんがあります。お店の名前は「塩芳軒」。京町家の特徴である格子や虫籠窓の縦のラインが、長いのれんと調和して大変美しく、のれんが風にたなびいたりしているときは、つい足を止めて見入ってしまうこともあります。建物は、京都市の景観重要建造物及び歴史的風致形成建造物、そして歴史的意匠建造物にも指定されています。
塩芳軒の創業は今から約140年前の1882年。1341年に中国から来日し、日本で初めて饅頭を作ったと伝えられる林浄因の流れを汲むといわれる京都の名店「塩路軒」から、初代・高家芳次郎が別家する形で創業しました。
その初代から続く塩芳軒の代表銘菓が「聚楽」です。豊臣秀吉が天下を統一したのち、京都の地に「聚楽第(じゅらくだい)」という壮大華麗な城郭を建設しました。銘菓・聚楽は、塩芳軒がその聚楽第跡に程近かったことから命名されました。絢爛豪華だった聚楽第のイメージとは相反し、聚楽は「天正」の印が押された素朴な印象の意匠。餡は聚楽専用に炊き上げられたものが使われているそうです。
この聚楽を知ったのは、恥ずかしながら西陣に住んで10年が経ったころ。「京都土産」のレパートリーを増やしたいと調べていた時に、普段歩いて通り過ぎることが多い西陣の和菓子屋さんをもっと知りたいと思ったことがきっかけでした。名店を代表するロングセラーのお菓子には、さまざまなエピソードやいわれがあり、一つ一つを味わいながら、それに関連する歴史上の出来事や人物に興味を持つことができるのもお菓子の楽しみ方だと思います。
塩芳軒は、今出川ショールームから徒歩約13分。黒染めののれんの向こうにある歴史を感じる店内で、お気に入りの和菓子を見つけてみてはいかがでしょうか?
塩芳軒
https://www.kyogashi.com/
今出川ショールーム
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丹窓窯 スリップウェア 豆皿
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