【比叡山と縄文文化】
比叡山といえば、京の都の鬼門の守護。多くの傑僧を輩出した延暦寺で知られていますが、それよりはるか昔、この地に縄文文化が栄えていたのをご存じでしょうか?
先日、京都大学総合博物館で開催されている「比叡山麓の縄文世界」展に行ってきました。比叡山の西(京都)側の麓というのは、修学院、一乗寺、北白川、吉田など。現在は京都芸術大学(旧・京都造形芸術大学)や京都大学もあり、自由でユニークな雰囲気が漂っています。
この辺りは、都の碁盤の目からは外れているけれど、新しい京都の文化エリア、なんて勝手に思っていたのですが、とんでもない、新しいどころか縄文時代から人が暮らす、とてつもなく古~い地域だったのでした!いつも何気なく歩いている場所に縄文の人々が暮らしていたと思うと、なんだかワクワクします。また、比叡山を超えて西(滋賀)側の麓からも数々の縄文土器が見つかっており、これらの縄文遺跡は近畿地方の縄文文化の解明に重要な役割を果たしているそうです。が、その資料はこれまでほぼ未公開。今回の展示でそれらが一挙公開となりました。
展示されている土器は、縄文後期のものが多かったためか、燃え上がる炎を彷彿とさせる「火焔(かえん)土器」のような装飾的で力強いものよりも控えめな印象です。しかし素朴な紋様がかわいらしく、考古学は全く門外漢な私も、子どものころの伸びやかな感覚を思い出すような気持ちで土器そのものを味わってきました。古代ロマンに惹かれる人が多いようで、博物館の方によると、「結構人が来館されている」とか。図録はすでに再版がかかり、購入は予約制となっていました。
なお、博物館には常設展もあって、自然科学分野の研究成果なども展示されています。模型や大きなジオラマがあったりして、子ども連れでも楽しめそうです。ちなみに私は鉱物コーナーとモグラの巣の模型に興味津々でした。
「比叡山麓の縄文世界」展は6月9日(日)まで。ひと味違う京都の昔に想像を膨らませてみてはいかがでしょう。
比叡山麓の縄文世界
https://www.museum.kyoto-u.ac.jp/special/20240306/
ショールームのご案内
https://www.shokunin.com/jp/showroom/