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【ヴォーリズ建築】

日本各地に西洋建築を残したことで知られる建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズ。京都に住み始めてから、「これもヴォーリズ建築だったのか」と知ることが多く、日々驚かされています。

ヴォーリズは、1880年にアメリカのカンザス州で生まれ、大学卒業後、キリスト教の精神に基づいて青少年の生活指導などを行う公共団体である「YMCA」に勤務し、その紹介で1905年、24歳の時に英語教師として滋賀県近江八幡市にやってきました。英語教師になったヴォーリズは、放課後に聖書を使って英語を教えるバイブルクラスを開講しましたが、多くの生徒に慕われる一方で仏教徒の多い地域の反感を買い、教師を解任されてしまいます。その後、近江八幡YMCA会館(現・アンドリュース記念館)を建設し、その実績が評価され、京都YMCA会館の建築工事を監督する仕事を得ました。もともと建築家になることはキリスト教の宣教を志すまでの彼の夢であったこともあり、これを機にヴォーリズは建築現場内に事務所を設立し、建築家の道を歩むこととなりました。

ゆかりのあった京都と滋賀の近江八幡には、特に多くのヴォーリズ建築が残されています。まず、京都に行ったことのある方なら誰もが一度は目にしたことがあるであろうヴォーリズ建築が、四条通のシンボルとも言える「東華菜館」ですね。ヴォーリズによる商業施設の建築は少なく、東華菜館はヴォーリズ建築唯一のレストランです。左京区にある「駒井家住宅」も、あとから知ったヴォーリズ建築。つい先日も、京都の街を歩いていたら、街になじみながらもただならぬオーラを放っている建築を目にし調べたところ、知る人ぞ知る、京都市内最古のヴォーリズ建築とのことでした。「京都大学YMCA地塩寮」という建物です。極めつけは、「大丸京都店」。三条ショールームへの出勤前、ふと大丸の出入り口の一角に飾灯具が展示されているのを見つけ足を止めると、そこには「ヴォーリズ飾灯具」の文字が。大丸心斎橋店に続きヴォーリズが京都店の設計も手がけた、とありました。大丸のデザインで印象的な八つの角を持つ星型多角形「八芒星(はちぼうせい)」は、各地のヴォーリズ建築に用いられ、ヴォーリズ建築の意匠を象徴するモチーフでもあります。

昨年、初めて旅行で訪れた近江八幡には、ヴォーリズが活動の拠点としていたこともあり、初期のヴォーリズ建築が多く残っていましたが、京都の街にもこんなに多くのヴォーリズ建築が溶け込んでいたのですね。ヴォーリズ建築は、周囲と調和する簡潔で優美なデザインもさることながら、日本の気候風土や住習慣に適合させる工夫がなされ、実用性に重きを置いているのも特徴。街歩きの際、頭の片隅にこの話を置いておくと、あなたもどこかの街で思いがけずヴォーリズ建築に出会えるかもしれません。

東華菜館 本店
https://maps.app.goo.gl/CjqWRj95KkesA4tw8
駒井家住宅
https://maps.app.goo.gl/CDCP7dkZ39bS5w2m8
地塩寮
https://maps.app.goo.gl/nhoFSK7S2YqwQAvx7
大丸 京都店
https://maps.app.goo.gl/rhMLS9XYBhC6Wjec6
ヴォーリズ記念館
https://maps.app.goo.gl/tmVZ5n1zTtfMSL6R6
三条ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/sanjo.html

参考資料
https://www.omi8.com/omihachiman/local-history/vories/buildings/
https://www.okeihan.net/navi/kyoto_tsu/tsu202005.php
https://www.daimaru.co.jp/kyoto/art_at_daimaru/find.html
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c9a2590e777c26f841e27e021d5237e595dc7020
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E5%A1%A9%E5%AF%AE