【桜餅の葉っぱ】
桜開花のシーズンですね。3月末にかけて、各地から続々と桜の開花を知らせるニュースが届きそうです。この季節はたくさんの桜風味のお菓子や飲み物を見かけます。その中でも、日本における春のお菓子の永遠のスタンダードといえば「桜餅」ではないでしょうか。俳句などでは、桜餅は桜と同じく春を表す季語になっています。
桜餅の葉や桜の花の塩漬けの香りの成分は「クマリン」といって、抗酸化物質のポリフェノール・フェノール酸系に分類される香りです。桜の生葉に香りはありませんが、葉や花を塩漬けにすると、酵素の働きによってクマリンという成分が生まれ、特有の香りを放つようになります。クマリンには抗菌作用や抗血液凝固作用があり、むくみ防止や老化予防に効果的なのだそうです。
桜餅に使用する塩漬けの桜の葉のほとんどは西伊豆・松崎産で、「オオシマザクラ」という種類のものです。大きめの葉で、香りがとても良いです。お餅の乾燥を防ぎ、塩漬けにした葉を巻くことで菌の繁殖を防ぐことができます。
東京を代表する桜餅は、落語「花見小僧」にも出てくる「長命寺桜もち」です。享保2年(1717年)に隅田堤の桜の葉を塩漬けにし、その葉で餡入りの餅を挟んで販売したのが始まりです。享保2年は吉宗が隅田川堤に桜を百本植樹した年でもあり、花見客の増加と相まって桜餅は長命寺門前の名物となりました。
この長命寺桜もちは、3枚の塩漬けの葉で包まれています。「葉をはずして、お餅にうつった桜葉の香りと餡の風味をお楽しみください」とおすすめされていますが、葉は取り除いても、1枚だけ付けて食べても、3枚とも一緒に食べても良いともされています。全国和菓子協会でも「葉っぱをはずしたほうが本来の桜の風味を味わえる」として、はずすことを推奨しているようです。昭和に活躍した俳人であり小説家の高浜虚子の俳句に「三つ食へば 葉三片や 桜餅」という俳句がありますが、この句から推察するに、虚子が食べたのは葉が一枚の桜餅、そして「桜餅の葉を食べない派」だったようですね。皆さんはどの食べ方がお好きでしょうか?
さて、桜餅にはもう一つ、関西風の道明寺粉を使った道明寺餅がありますね。関東風の小麦粉を使った長命寺餅と見た目の形や食感が違います。どちらもピンク色の生地と塩漬けの桜の葉で巻かれ、桜の良い香りがします。
どうぞ今の桜の季節を満喫できますように。職人.comで扱う桜の木の商品をいくつかご紹介させていただきます。
藤木伝四郎商店 総皮茶筒
https://www.shokunin.com/jp/denshiro/
薗部産業 めいぼく椀 さくら
https://www.shokunin.com/jp/sonobe/wan.html
薗部産業 リム付きさくら皿
https://www.shokunin.com/jp/okubo/hera.html
大久保ハウス木工舎 木のへら(4/1前後に再入荷いたします)
https://www.shokunin.com/jp/okubo/hera.html
参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/桜餅
https://ja.wikipedia.org/wiki/クマリン
https://sakura-mochi.com/
https://weathernews.jp/s/topics/202104/050085/
https://news.livedoor.com/article/detail/9923991/
https://dl.ndl.go.jp/pid/1305740/1/1 (江戸自慢三十六興 向嶋堤ノ花并ニさくら餅 - 国立国会図書館)