




【ノニック】
イギリスの酒場であるパブでビールを提供するのに使われる、おなじみのパイントグラス。形状にはいくつかあり、円錐形の「コニカル・グラス」、取っ手が付き、大きなマグカップに似た形状の「ジャグ・グラス」、そして最も一般的な「ノニック・グラス」などがあります。ノニックとは、「no nick」=欠け無しという意味で、口部すぐ下に膨らみがある形状なので、指が引っ掛かりやすいため持ちやすく、グラスを重ねた時に抜けにくい・欠けるのを防ぐなどの利点があります。
イギリスでは1600年ごろ、パブごとに使われるグラスが異なっていたことにより、酒税をごまかす不正が横行していました。そこで1699年、生ビールを英式計量で販売しなければならないという法律が定められ、1パイント・グラスとハーフパイント・グラスが誕生しました。ところが、それでも軽量器で計るミリ単位は難しかったため、グラスに王冠のマークをエッチングして量るようになりました。現在は、EU規制のために、王冠のマークからCEのマークに変更されています。
日本では液量はミリリットル(ml)とリットル(L)が使用されますが、海外ではパイント(pint)で表示されています。また、アメリカとイギリスでは1パイントの基準値が違います。イギリスは1パイントが568ml、アメリカは1パイントが473mlです。日本では計量単位としてパイントが使われることはほとんどありませんが、ハーゲンダッツアイスクリームは1パイントの473mlと書かれているのを見かけますね。沖縄では、アメリカ合衆国による統治の名残があり、牛乳などの紙パック入り飲料はパイントサイズが一般的とのこと。
東屋のノニックは、約450mlとオリジナルサイズです。紀元前のヨーロッパから伝わる「宙吹き」という技法で、吹きガラス工房frescoによって一つ一つ手作りで製作され、サイズや厚み、重さなどに個体差があります。このノニックのデザインは飲み口が広いので、ビールの香りや口当たりの良さ、味わいを感じることができます。グラスの背景を知ると更にお酒を楽しめそうですね。
東屋 ノニック
https://www.shokunin.com/jp/azmaya/nonic.html
参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/パイントグラス
https://ja.wikipedia.org/wiki/パイント