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【山形のラーメン文化と酒田ラーメン】

総務省による家計調査に基づいた、ラーメンにかける全国の県庁所在地・政令指定市ごとの世帯当たり年間支出額(外食)全国1位。この座を巡っては近年山形市と新潟市が切磋琢磨する展開が見られ、2021年における調査ではそれまで8年連続首位だった山形市から新潟市が1位を奪還、その後2022年は山形市が僅差で首位に返り咲き、そして先月発表された2023年の調査結果では山形市が前年に続き連覇を達成しました。昨年の暮れに山形市は2月8日を「山形市ラーメンの日」と定め、山形市と市民が一体となって山形のラーメンを盛り上げる活動に取り組んでいます。

山形でのラーメンの消費量が多い理由はいくつかありますが、一つは「そば屋でラーメンが食べられること」。定番のそばのメニューに並び、「ラーメン」や「中華そば」の文字を目にすることは珍しいことではありません。もともとそば処であるがゆえ、同じ麺類であるラーメンは山形の食文化に早くからなじみ、ラーメン店、そば屋、食堂など、外食できるほとんどのお店でラーメンを提供するようになりました。休日に家族が揃ったら、おいしいと評判のラーメン屋に行くというのも休日の過ごし方の定番という家庭も少なくありません。もう一つは、山形市の冷やしラーメンのように、ラーメンの消費が落ちがちな夏に、地元の人にも観光客にも人気のメニューがあること。そして最後は、昔から「お客さんが家に来たら出前の中華そばでもてなす」という独特のおもてなし習慣による部分が大きいと思います。

この嬉しいおもてなし、私も昼時に親戚の家に伺うと、近所のラーメン屋さんからおいしい中華そばを出前でとってもらったことが何度もありました。熱々のラーメンが入った器に、ピンっとシワなく貼られたサランラップ、それを取ったときに立ち上るスープの香り、小さな袋に入った白胡椒の香り、少し柔らかくなった海苔、薄く刻まれた白いねぎ、シナチク、思い出しただけですぐにでも中華そばを食べたくなります。そして山形県は農業が盛んな土地柄、春の田植えや秋の稲刈り、そして名産品のサクランボの収穫の時期には農家はとても忙しく昼ご飯を作っている余裕がありません。そのため、ラーメン屋が田んぼや畑に出前を届けていたこともあったそうで、そうして地元に根付いたラーメン文化が消費量の多さに影響を与えているとも言えるでしょう。

今回の帰省では懐かしの「酒田ラーメン」を食べに行く機会に恵まれました。酒田ラーメンは山形県酒田市のご当地ラーメンで、煮干しやトビウオ、昆布などの魚介系の出汁スープをベースに、丁寧に仕込んだ豚骨や鶏ガラなどの出汁を合わせ、さっぱりしながらも濃厚な旨味と香りが特徴です。大正後期に中国人が「支那そば屋」として開店したことに端を発し、その味や技術を継承したのが酒田ラーメンの起源とされています。伺ったのは川柳食堂。もちろん「中華そば750円」を頼もうとふと壁のメニューを見ると、プラス100円の「ワンタンメン」を発見。そう、酒田ラーメンといえばワンタンメン!を思い出し、すぐさま注文して待つことしばらく。大きなワンタンが4つのったワンタンメンが私たちの目の前に運ばれてきました。一口食べるとふわふわ、トロトロ、そしてツルリとした絶妙な食感のワンタン!しっかりと食べ応えのある麺、醤油ベースのスープと、シナチク、チャーシュー、白ねぎのトッピングは、まさに心に思い描いていた思い出の中華そばそのものでした。どのエリアにもその地域独自のご当地ラーメンがあり、観光の合間に楽しむこともできます。寒い冬も暑い夏も、山形にお越しの際にはぜひ「おもてなしの味」のラーメンを楽しんでみてください。

川柳食堂
https://www.sakatano-ramen.com/senryusyokudo.html

参考資料
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2211/17/news053.html
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/20240208/6020019724.html
https://news.mynavi.jp/article/20130422-a061/
https://www.sakatano-ramen.com/whats-sakata-ramen.html