【浜松のうなぎ】
先日浜松の「あおいや」で食べたうなぎの味が忘れられず調べたところ、浜松は「関東風」と「関西風」両方のうなぎが味わえる全国でも珍しい地域であることを知りました。
うなぎ養殖発祥の地、静岡県浜松市の浜名湖周辺。100年以上の歴史を持つ浜松でのうなぎ養殖は、明治33年に服部倉治郎が浜名湖がうなぎ養殖に最適な場所であると判断したことから始まりました。浜名湖周辺でうなぎ養殖が発展した要因には、豊富な地下水から養殖に必要な水が得られたこと、日照時間が長く一年を通して温暖な気候であったこと、浜名湖でうなぎの稚魚がたくさん採れたこと、うなぎの餌となる蚕を手に入れやすかったことなどが挙げられます。また、浜松が東海道の中間点にあり交通の便が良かったことから、浜名湖のうなぎは各地へ広がり、全国的に有名な産地となりました。
浜松には多くのうなぎの名店がありますが、東京と大阪の中心に位置するため関東風と関西風のお店が入り混じっているというのも、この地でうなぎを食べる面白さの一つです。うなぎの蒲焼きには、蒸してから焼く関東風と、蒸さずに焼き上げる関西風があり、今回訪れたあおいやは関西風。ほかにも、関東は背開きで関西は腹開き、関東はタレの中にうなぎをつけ、関西はタレをうなぎにかけるなどさまざまな違いがあります。1977年創業のあおいやで食べた関西風のうなぎは、表面はカリッと備長炭の香りが香ばしく、それでいて身はふっくらとジューシーでその食感のバランスが絶妙でした。トロッと柔らかなうなぎのイメージしかなかった関東出身の私にとっては、新しく、衝撃的なおいしさでした。
また、うな重やひつまぶしには基本的にうなぎの「蒲焼き」が使われていますが、今回初めてうなぎの「白焼き」も食べました。白焼きは、うなぎ本来の素材の味が楽しめる食べ方であり、白焼きにタレをつけて焼いたものが蒲焼きです。シンプルに塩で食べるうなぎの白焼きは、シャクっとした食感にまず驚き、脂の旨味が際立っていて、今回頼んだうな重もいいですが次回は白焼きをメインで頼もう、と思いました。
質が高く、多種多様なうなぎを味わえるため、浜松に来たらうなぎのお店を数軒巡る人も少なくないようです。私も今回初めて関西風のうなぎに出会いましたが、同じ関西風でも、よりクリスピーなお店もあると目にして、更にいろんなお店を巡ってみたくなりました。静岡はほかにもご当地グルメが豊富ですし、うなぎのお店は行列ができているのも珍しくないですが、浜松に行かれたらぜひ一度うなぎを食べていただきたいと思います。
あおいや
https://www.aoiya-unagi.com/
参考資料
100年以上の歴史を持つ“うなぎ養殖”発祥の地・浜松/浜松市
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/sbs/631332
https://www.toranomon-ichiba.com/column/t-category/gyokai/unagi-shirayaki.html